さそり座
痙攣に身を委ね
至高のいまを!
今週のさそり座は、東京事変の「閃光少女」のごとし。あるいは、日常に亀裂を入れて、未来と過去から切断された今この瞬間のスパークを回復させていこうとするような星回り。
ふだん、目的と手段の関係にとらわれた日常生活を送っている私たちにとって、2007年に発表された東京事変の「閃光少女」は、その疾走感あふれるサウンドや特徴的な歌声だけでなく、その歌詞もまた強烈な光を投げかけてくるようです。例えば、
「今日現在(いま)が確かなら万事快調よ/明日には全く憶えて居なくたっていいの」
「今日現在(いま)を最高値で通過して行こうよ/明日まで電池残す考えなんてないの」
という部分では惰性で延長された未来が否定され、
「昨日の予想が感度を奪うわ/先回りしないで」
「昨日の誤解で歪んだ焦点(ピント)は/新しく合わせて」
という部分では現在まで引きずるような過去を否定し、あくまで今日というこの一瞬を「新しく」生きることの必要性が訴えられているのです。ただし、ここでの現在は、何か目的のための手段ではなく、役には立たないけれどそれ自体で生き生きと力に満ちている現在です。
「呼吸が鼓動が大きく聴こえる」一瞬一瞬のなかで、「またとないいのちを/使い切っていく」くらい何かに夢中になっていくこと。
22日にさそり座から数えて「生命力の回復」を意味する5番目のうお座で上弦の月を迎えていく今週のあなたもまた、「今日現在(いま)がどんな昨日よりも好調」であるように、悔いなく思いきり一日一日を使い切ってみてください。
生命力を解き放つために
別の言い方をすれば、今週はこれからも自分が生きていくために、誰かを愛していくことができるか(愛されるかではなく)、ということが問われてくるのだとも言えます。
われわれは生きて肉体のうちにあり、いきいきした実体からなるコスモス(大宇宙)の一部であるという歓びに陶酔すべきではないか。眼が私のからだの一部であるように、私もまた太陽の一部なのである。(D・H・ロレンス『黙示録論』)
一般的には『チャタレー夫人の恋人』の作者として知られるロレンスが実際に取り込んでいたのは、近代社会の狭くせせこましい道徳の中でがんじがらめになった生命力を、偽善的な目標の拘束からいかに解き放っていくことできるかというテーマでした。
そのためには、自分を取り囲むコスモスに自分をひたし、あるいは委ねてその喜びを身体いっぱいに感じていくことが一番。今週は、頭よりも身体の要求を最優先させていきましょう。
今週のキーワード
『チャタレー夫人の恋人』