さそり座
間と背景
真空の感覚
今週のさそり座は、「ひんやりと手鞠に待たれをりにけり」(阪西敦子)という句のごとし。あるいは、誰か何かに自然と寄り添っていくのにちょうどよい間合いを感じとっていくような星回り。
「手鞠」は正月遊びのひとつで、今ではもっぱら女の子の遊びのイメージが強いですが、古くは男子の行事であったそう。
いずれにせよ、掲句では手鞠と私とが、一対一でただただシーンとして冷えている。何ものかに「待たれ」ているという感覚が充実していくためには、どうしてもそうした静寂やある種の「間(ま)」が必要となってくるのです。
そして、それがある種の真空空間のように、こちらをそっと引き寄せてくれる。もしそういう手招きを経ず、勝手にずかずかと押し入っていったならば、それは時期尚早であったり、御役御免となってしまうことでしょう。
現代人はこうした真空の感覚さえも、なんとなく淋しげであるとか、孤立していると感じてやたらと避けたがりますが、11日(土)にさそり座から数えて「波長での交流」を意味する9番目のかに座で満月を迎えていく今週のあなたなら、みずから進んで静寂の中に身を浸していくことができるはず。
ないがしろにしてきたものを取り戻す
秘書にしろ、道ばたの花にしろ、物事を支えている背景というものはふだん控えめで、自己を主張することはほとんどありません。
だからこそ私たちは、大きな声で喧伝されている社会のメッセージに応え、常に遠い彼方の何かのために戦い、手鞠を無視するだけに留まらず、道すがら咲いている可憐なスミレの花を踏み潰し、そのことにさえ気づかずに無視したまま生きてしまう。
今週はある意味で、そうした普段わたしたちの実生活を支えている背景に気付き、その働きに呼応していくことで、これまで自分がないがしろにしてきた半身を取り戻していこうとしているのだとも言えます。
草葉の陰に目をこらし、露の世を楽しむくらいのつもりで過ごしていきたいところです。
今週のキーワード
待たれているという感覚