さそり座
もし人生が紙芝居だとしたならば
無力でポンコツな私から始める
今週のさそり座の星回りは、人生という紙芝居を後ろからめくって確認していくよう。あるいは、既存の自分をひっくり返した先に、新たな自分を見出し、それを育んでいくこと。
私たちは無意識のうちに「本能だけで生きている他の生物たちよりも、文明を持つ人間は優れている」とどこかで考えていますが、心理学者の岸田秀は逆なのだと言っています。
人間は決して動物より高等な生物ではないし、むしろ「人間は本能の壊れた動物」であり、動物と比べて感覚もずっと鈍いし、特質すべき武器や防具も持ちあわせていないポンコツであるがゆえに、文明を作らざるを得なかったのだと。
「人間は日常生活をひっくりかえすために戦争をする。そのことによってわれわれがいかに日常生活を憎んでいるかがわかる。」(『ものぐさ精神分析』)
人間が本当の意味で憎んでいるのは、きっとおのれの無力さでしょう。
そして、力を持った存在でありたい、その力で他者を支配したいという欲望は、12星座の中でさそり座の人たちが最も強く有する願いでもあります。
23日(金)にさそり座から数えて「死」や「しがらみの断ち切り」を意味する8番目のふたご座で下弦の月を迎えていく今週のあなたは、原因と結果を逆にひっくり返していく残酷な試みを通して、自己をめぐる真実を少なからず垣間見ていくことができるはず。
自分の望みはなまなましい
おそらくほとんどすべての大人というのは、純粋に誰かのためにみずからの人生を教訓として話して聞かせられるほどの「好々爺」には成りきれず、かといって純粋な期待を人生に寄せられるような「子供」ではありえない、じつに宙ぶらりんな場所に立っているはず。
それは、自分の中のさまざまな欲望に、まだまだ無自覚であるということです。
好々爺だって、若い頃は悪いこともしたかもしれませんし、不幸や挫折や破れもあったでしょう。そうしたきっかけを通じて、それまで誤魔化していた自分の欲望をひっくり返され、見つけていったのです。
今週はそうやって自分をひっくり返していく中で、うまくいけば「自分の望み」と自覚的に付き合っていくヒントを見つけていくことができるはずです。
今週のキーワード
小さな物語としての人生