さそり座
傷つきやすく正直な顔がいい
「厳しい鏡」として
今週のさそり座は、ただそれ自体で存在しているような「顔」のごとし。あるいは、殺すことのできない語りとしての顔を、意識するでもなく意識していくような星回り。
例えば、インタビューなどを見返していると、三島由紀夫の言葉にはそういう顔本来の存在感がありました。
彼の文学の方は徹底的に鍛えられ、完成された文体を持っていましたが、それは「傷つきやすさ」の裏返しでもあり、逆に彼の語りには本質的な貧しさを慎み深く露出しているような、それでいて正直で無防備であるような雰囲気がありました。
人が、他人の目を気にして気取った態度をとったり、逆に平静を装ったりするのは、そうした「顔」というものが本来備えている「貧しさ」を隠すためでしょう。
そう考えてみると、かつての日本映画の役者たちのような“いい顔”の芸能人が減ってきたのは、現代社会ではあまりに<見られる>ことを意識しすぎるため、「顔」がそれ自体で存在しえなくなったからかもしれません。
それほど「顔」というのは、その時々の人間の在り様を正直に露呈させてしまう「厳しい鏡」のようでもあり、特に「目は口程に物を言う」とされる「目」はその人間の殺しようがない言葉が宿っているのだと思います。
ひるがえって今あなたは、顔を通じて一体どんな言葉を放っているのか。どうしたって漏れ出てしまうもの位相を、今もって問われていきそうな今週です。
他者などいない
心から貴重だと思えるものが、同時にひどく傷つきやすいものであることは本当にいいことなのです。
傷つき、失われゆくということこそが、生存していることの一番のしるしであり、美しいものを美しいと思える感受性を育んでくれるから。
そして、そういうことに気付くためには、人は静謐で孤独な時間が必要なのです。
この世という仮の宿には、行くも帰るもひとりなのだということを今週は改めて感じていくでしょう。
しかし、それは永遠なるものを受けとっていくための契機であり、今またあなたにはそうした感覚を思い出すチャンスが訪れているのだと知ってください。
今週のキーワード
顔のエロス