さそり座
不機嫌さを祓う
不機嫌な時代の中で
今週のさそり座は、さながら台風一過のあとの昼下がり、澄んだ大気の清涼感のなかですべてのものの輪郭がくっきり浮かび上がってくるかのような星回り。あるいは、これから生きていくであろう愛すべき「場」を整えていくこと。
かつて現代の日本を「不機嫌な時代」と呼んだ人がいたが、その傾向はますます強まっているように思われる。物事が自分の思い通りにならないと、人はどうしても苛立ち、不機嫌になっていくが、こうした苛立ちや不機嫌が厄介なのは、たちまち伝染することである。
不機嫌がさらなる不機嫌を呼んで、ついにはひとつの場全体がとげとげしくなってしまったりする。
そういう文脈を踏まえた上で、今週のあなたのテーマはそうした苛立ちや不機嫌の伝染から自分の場を守ることにある。
つまり、不機嫌の代わりに上機嫌を呼び、苛立ちの代わりに和みを引き起こすような振る舞いを、少なくとも自分の身近な場においてだけでもしていくことと言えるだろう。
上機嫌という贈り物
フランスの代表的モラリストのひとりで『幸福論』の著書として有名なアランは、別の著書で不機嫌のメカニズムについても論じている。
いわく、自分でもよく分からない不機嫌さに直面したときは、あまりそうした気分や感情の原因を深刻に考えすぎず、まずはもっと身近な身体的・生理的レベルでの原因を探してみたらどうかと提案している。
例えば、幼い子供がいつまでも泣き止まず途方に暮れているとして。
自分は母親としての能力に欠けているのではないかとか、この赤ん坊には遺伝的・先天的な欠陥があるのではないかと思い悩んで、本を読んだり必死に調べ物をしたりするよりも、うんちをしていないか、どこかかぶれていないかと、よく体を確認してみる方がよほど解決に繋がる可能性が高いだろう、と。
あるいは、何か贈り物やプレゼントをして、赤ん坊の注意をもっと明るくなるような方へ惹きつけていくのも有効だろう。
これは先の周囲へ「上機嫌」を贈るというマナーにも通じるが、いくらやりとりしても増えることはあっても減じることはないという意味で、さりげなく基本的なことではありますが、すぐれた知恵を含んでいるように思う。
そして少なくとも、そうした振る舞いの後には、私たちは以前よりすっきりとした晴れやかな顔をしているはずだ。
今週のキーワード
深刻にならないこと