さそり座
極限と反動
自分の性を受け入れる
今週のさそり座は、「馬洗はば馬のたましひ冴ゆるまで人戀はば人あやむるこころ」(塚本邦雄)という句のごとし。あるいは、極限まで行きつくことで初めて、自分の感情を受け入れていくことができるような星回り。
愛の極限は、相手を殺めてしまうほどの激しさにある。そんな美意識を思い起こさせるという意味で、掲歌はさそり座の本音の部分を鋭く突いてくるのではないでしょうか。
ただし、それは言葉にしてしまえばその限りではありません。胸に秘めていてこそ、そうした激しさはギリギリのところで愛へと繋がっていきますが、いったん言葉に出してしまえば、その激しさはピークをすぎて収まりつつあるはず。
そこではもう心は相手を「あやむる」ことへは向かわず、そこまで相手を恋焦がれずにはいられなかった自分自身を醒めた目で受け入れていく方へと傾いていく。
今週のあなたもまた、自身の激しい胸の内を言葉にしていくことで、自分の性(さが)を静かに受け入れていくことがテーマとなっているように思います。
深きも浅きも息ひとつ
仕事上の困難であれ、処理しきれない感情であれ、人間に生じたものである以上、時が経てば自然とおさまってくるもの。
ですがそれを早めるも遅らすも、心の使い方や、そのもっとも顕著な現われとしての「息」の仕方次第で自在に変わってくるのだと、野口晴哉は述べています。
「時を知り 自然を知る者は いつも静か也 可し可からず(べしべからず)の檻の中で窒息しかけてゐるのは 天行の健やかなるを知らざる人也 空の青きを知らず 日の輝けるを見ず 自分の影に怯えてゐる也 山の高きは人間が高きと思ふがゆえ也 思はねば月も冷たき石也 海の深き 河の速き 人間がさう思ふからさうある也 高きに非ず深きに非ず ただ人間の息が短き也」
今週は、まずを深呼吸をひとつして、息を深めていくところから始めてみてはいかがでしょうか。
今週のキーワード
窒息せず、楽に過ごしていくには