さそり座
淡々と人と関わる
脱皮後の風通し
今週のさそり座は、「白昼の風ふきかわる蛇の衣(きぬ)」(桂信子)という句のごとし。あるいは、変わりゆく人間関係をどこか淡々と受け止めていくような星回り。
蛇はあたたかくなると何度も脱皮して成長しますが、「蛇の衣」とはその抜殻のこと。掲句では、そんな蛇の衣が夏の日差しにきらめき、風にそよいでいます。
占星術で「風」と言えば、他者との関わりや世間からの干渉などさまざまなレベルでの関わりを連想しますが、今週のさそり座は、それに加えてさらに未来へと吹き抜けていくような風の流れをも感じさせます。
私たちも人と人との間をすり抜けながら、さまざまな人たちとの関わりを通じて、自分の未来を仰いでいく。
今はただ、そうして変わりゆく身のまわりの文脈がどこへ繋がっていくのかを余計な感傷をまじえず、なんとなく見つめていくくらいのつもりで丁度いいのではないでしょうか。
人間関係を彫刻する
ルネッサンスを代表する彫刻家ミケランジェロが人類に残してくれた遺産のひとつに、次のような言葉があります。
「余分な大理石がそぎ落とされるにつれ、彫像は成長する。」
(The more the marbles wastes, the more the statue grows.)
くだらない駆け引きをしなければ得られないような友情や、恋であるならば、こちらから願い下げする。今週のさそり座には、それくらいのひたむきさがちょうどいいのかもしれません。
彫刻家になったつもりで、本質だけを残して、ノミで余分なものはそぎ落としていくといいでしょう。
ただし間違っても、自分を無力などとは思わないでください。
それは誤解であり、逆にそうやってすぐに「無力の国」を作りあげ、あなたをそこへ閉じ込めたがる他者こそ、そぎ落とすべき対象の本丸なのだと覚えておいてください。
今週のキーワード
憎まれっ子世にはばかる