いて座
自発と内発を行き来する
犬のあくび
今週のいて座は、暖炉のそばであくびをしている犬のごとし。すなわち、気取らず、焦りもなく、生命力にただ伸びをさせていくような星回り。
あくびは疲労のしるしではなく、おなかに深々と空気を送り込むことによって、絶え間なく注意と思考に縛り付けられている精神に暇を出すための合図だと思ってほしい。
そうして精神の働きをばっさり切り捨てる大変革によって、肉体は自分が生きていることだけで満足して、もう考えることには飽き飽きしていることを知らせてくれるのだ。
刺激の多い都市生活にすっかりなじんだ私たちの肉体は、不安と快楽によってつねに興奮させられたり、胸郭を締めつけ麻痺させられることに慣れたりしてしまっている訳ですが、肉体的にはこれはとても苦しい状態であり、それゆえ慢性的ないらだちが生じてくる。
苛立ちとは自分自身に対する怒りに他ならず、さまざまな拘束から自由にしてほしいという私たちへの訴えでもある。
今週は、そんな肉体の訴え、あるいは生命の報復を素直に受け止めて、拘束されたものの解放を宣言していくことになるだろう。
「みずから」と「おのずから」
あくびをするには、ごく「自然」でなければならないが、この「自」という言葉には、次の2つの意味が含まれている。
- ①みずから:自発的に、自分の意志で
- ②おのずから:自然発生的に、ひとりでに
これは端的に、①自発性、②内発性と言い換えてもいいかもしれない。
自発性というのは結局、「そうすることでメリットがあるから」行われる際の原動力となっているもので、内発性は、そういう損得勘定のレベルでの自分の為というところを越えたところで、内側からなんとなく湧いて出て来るもの。
ただし、ここで言いたいのは内発的であることが良いことで、自発的であるのが悪いこと、ということではない。
両者がつねに綱引きしあいながら、みずからとおのずからの「あわい」のところでこそ、生命力はのびのびとしていく。
今週はあまり両者のいずれかに偏ることなく、どうか自然体でいることを大切に。
今週のキーワード
自分自身に対する怒りを鎮める