うお座
人としての風通し
自分を透かし見ること
今週のうお座は、「うら表おもてはわきて青簾」(白雄)という句のごとし。あるいは、自分の中の裏表を透かしていくような星回り。
竹の青みが残る簾(すだれ)が青簾(あおすだれ)。向こう側に景色などが透けて見えると涼しげなものだが、竹の肌があるほうが表だから、裏よりも青みが強い(「わきて」は「とりわけ」「特に」の意)。
薄緑の2色は竹であるがゆえに清々しい印象を与えますが、これが人間であれば、裏と表のちがいは時にはまったく光や風を通さないほどに相反するものになっていきます。
そういう意味で今週のあなたは、どうしても表向きと内実とで一致しない点が出てきてしまう人間の裏表へどれくらい光や風を通していけるかが、問われていくでしょう。
その1つには、どんな時でも私たちを絶えずかき立ててやまない虚栄心を野放しにせずにいられるか、ということが挙げられるかもしれません。
虚栄心を野放しにしてしまうのは、人の弱さゆえ。ですがそうした弱さこそは悪徳にも増して、美徳に相反するものなのだということを、どうか胸に刻んでおいてください。
ラ・ロシュフーコーの裏表
「純粋で、ほかの情念がまったく混じらない愛があるとすれば、それは心の底に隠されていて、われわれ自身も知らない愛である」
とは、人間の偽善や自己愛にきびしい皮肉をあびせる、あのラ・ロシュフーコーの言葉であると言うから驚きです。
だがこうした言葉と出会うと、やはり彼ほど冷静で知的な人物であっても、説明のできない感情にとらわれたり、思いに振り回されたりといったことが確かにあったのだと知れて、少し爽やかな気持ちになるから不思議ですね。
どんなに備えていても、美徳に反するときは反する。その裏表を人間らしさとして楽しめるかは、自分という存在のどうしようもなさをどれだけ自覚出来ているかどうかなのでしょう。
少なくとも、ラ・ロシュフーコーは、自らの異様さに思わずうろたえ、おおいに困惑させられた経験があったのかもしれません。さて、あなたはどうか。
今週のうお座へのキーワード
『ラ・ロシュフーコー箴言集』