うお座
未来の青空を開くため
記憶の空
今週のうお座は、「遠き日の日本の空に凧一つ」(北側松太)という句のごとし。あるいは、“糸の切れた凧”とも言うべき状態となり、やむにやまれぬ流れに押し流されていくような星回り。
掲句で凧が漂っているのは、遠い昔の青空です。人の心の奥には、いつだって時空を超えて帰ることのできる空があるのでしょう。そして、その下には在りし日の幼い自分や、いまよりずっと若かった親や兄弟の顔、そして残してきた思いがある。
今週のうお座は、いつも以上に時空の壁を超えていきやすいのだと言えるかもしれません。そこではどこへ行くにも自由ですが、人にはどうしても帰ってしまう空があるものです。それはあなたにとってどんな思いと紐づいた空で、なぜ今その空なのでしょうか?
記憶の中の空から帰ってくる時にはどんな風に乗っていたいのかを思いながら、風の吹くままに身を任せてみるのも一興です。
葛藤と魅力
悩まない強さを持ち、鈍感さを備え、すぐに忘れるずるさを発揮できる人は、「憎まれっ子世に憚る」という言葉の通り、確かに社会では成功しやすいです。さらに言えば、繊細さを騙り周囲を欺くことができる人ならば、もはや無敵でしょう。
これは若いうちはまったくもってその通りだと思います。けれど、友達も少なくても、いつまでも小さなことで悩んでいても、弱さから逃げず留まり続け、何度も過去へと戻ってきた人の顔は、年とともに魅力を増していきます。
あるいは、周囲の誰しもが忘れてしまったことだとしても、あなただけは覚えている。そういう記憶こそが「遠い昔の青空」となっていくのかもしれませんね。
今週のあなたはノスタルジーとインスピレーションのはざまで、時に激しく揺れ動くこともあるでしょう。けれどそうした葛藤の向こう側にしか、開いていくべき未来の青空はないのだと、どこかで予感していくはずです。
今週のキーワード
ノスタルジーとインスピレーション