うお座
自分自身の一部を手放す
おのれの攪拌
今週のうお座は、絵本を目が見える人と見えない人とで共有する読書会のごとし。あるいは、複数の主観が合わさっていくような星回り。
「障害は世界を捉え直す視点」をテーマにキュレーターやプロデューサーとして活動している田中ひとみさんという方が、写真を用いた絵本を目が見える人と見えない人とで共有する読書会をやったのだそうです。
その時の話が面白くて、最初はそこに何が写っているかを見える人が見えない人に説明するという構図ができるそうですが、時間の経過とともに、そこに見えていない個人の経験や思い出について、視覚の有無関係なくみんなが語り始めていったのだそうです。
田中さんはそのことを踏まえて、個人と個人が向かい合いつつ、ただ一緒にいることを共有する感覚を持つためには、第一印象を超える時間が必要なのかもしれない、と話していたのですが、人が無意識のうちに抱いてしまう第一印象や、粗い解像度でのカテゴライズをパッと手放すには、それなりの成功体験の積み重ねや訓練が必要になってくるのではないでしょうか。
つまり、立場を超えて人と対話をしていくためには、一個人として安定している秩序立った状態に逆らって、おのれを攪拌し、カオスを取り込んでいくような状況に定期的に飛び込んでいくことが不可欠となっていくはず。
8月5日にうお座から数えて「エージェンシー」を意味する9番目のさそり座で上弦の月(行動の危機)を迎えていく今週のあなたもまた、よりよい未来を創造していくためにも、自分が開かれていくような場へと積極的に足を運んでみるといいでしょう。
習得すべき技術としての「素直さ」
例えば、「素直である」とは、一般的に飾り気のない、ありのままの素朴さを言い、幼く従順であることとセットのように思われますが、辞書で調べると、他にも「技芸などに癖がない」という意味が出てきます。
これは私たちがどんな仕事であれ多少なりともキャリアを重ねていくと、経験値や引き出しが増えていくと同時に、どうしても癖がついてきて、「その人なりの味が出てくる」と言えば聞こえはいいものの、当初の柔軟性が失われるだけでなく、仕事や職業、特定の役割そのものに執着が湧いてくることの裏返しなのだとも言えます。
その意味で、「素直さ」とは子供時代よりも大人になってから改めて重要性が増してくる特性であり、ある種の“技術”として習得し習熟していくべきものなのかも知れません。
今週のうお座もまた、そもそも自分を幸せにすることができるのならば、やっている仕事や就いている職業は何でもいいのだという柔軟性を、改めて取り戻していくことがテーマとなっていくでしょう。
うお座の今週のキーワード
癖をとる技術