うお座
互いに手を取り、共に踊る
ぴったり来る感覚
今週のうお座は、『一枚の皮を脱ぎたき春の朝』(岡田史乃)という句のごとし。あるいは、これしかないという関係性に賭けていくような星回り。
人間だって、春になれば筍(たけのこ)のように皮を脱ぎたくなる。自然と新しくなれたらという思いだって募る。そんな気持ちがストレートに伝わってくる一句。
とはいえ、土の中から顔を出したと思ったら、あっという間に伸びて若竹となっていくたけのこの春は一瞬であり、まさに特別に新鮮な時間の流れる朝のひとときと一繋がりで結びついています。
俳句ではよく、「季語が動かない」という言い方をすることがありますが、掲句の場合は、「秋の朝」でも「冬の朝」でも「夏の朝」でもなく、「春の朝」でなければならない(=動かない)ですし、その必然性が句に強く宿っているのだと言えます。
季語ひとつに、動詞ひとつがパズルのピースのようにぴったりとはまり込んでいく気持ちよさというのは、日常の人間関係ではなかなか体感することはありません。けれど、こんな句を詠んだあとには、そういうことがあるのかも知れないと自然に思えてくるのではないでしょうか。
17日にうお座から数えて「結びつき」を意味する8番目のてんびん座で満月を迎えたところから始まっていく今週のあなたにとってもまた、これしかないという結びつきを身の周りの人間関係のなかに改めて見出していくには絶好のタイミングとなっていくはず。
ダンスパートナーを迎える儀式
『ガイアシンフォニー第四番』というドキュメンタリー映画でも紹介された“レジェンド・サーファー”ことジェリー・ロペスもまた、俳人と同じように自然と共振しつつ自分の言葉を展開していく達人のひとりと言えます。
「私はいつも、海の力の一部になりたいって願っています。大自然の力は決して抵抗できるものではない。 唯一の許される道は共に歩むことです。 対抗しようとすれば必ず結果は悲惨なことになる。共に歩む…そうすればどこかに道が開ける。 」
「ダンスを踊るときのように波の力の良いパートナーになるんです。サーフボードはダンスパートナー、波は音楽、その音楽に乗って共に踊る、それが私の実感です。」
「サーフィンが教えてくれるのはハーモニー、 特に自分自身とのハーモニーです。最初は、海や波などの自然と調和することを学びます。それが出来たとき、次のステップはその調和の精神を日常生活に持ち帰ることです。」
今週のうお座もまた、ロペスのようにできるだけ相手との調和を心がけながら、しずかに、しかし力強く、自分の言葉で語りかけてみるといいでしょう。
うお座の今週のキーワード
波の干渉によって生みだされる新しい波形