うお座
あえて過去を振り返る
棒を受けとる
今週のうお座は、「去年今年貫く棒の如きもの」(高浜虚子)という句のごとし。あるいは、否応なく我が身で引き受けていかねばならぬものを見定めていくような星回り。
年が明けた後に旧年を振り返っている句。現代の風潮としては、前年のことは前年まで、年が明けたらその年に叶えたいことや目標、初夢の内容、正月のあれこれ、仕事始めのバタバタに気を取られて、あまり「去年今年(こぞことし)」という振り返り方はしなくなったように思います。
「貫く棒の如きもの」とは、年の節目を貫いて流れている時間のことであり、歴史的ないし宇宙的に先代から引き継いでいかねばならない様々な遺産を「もの」として具体的に突きつけられているある種の圧迫感を表わしているようにも感じられます。
占星術界隈でも、昨年の12月頃から「地の時代から風の時代へ」という話題でもちきりでしたが、「地の時代」のことをきちんと踏まえ、その課題を認識するのでなければ、新しい時代への認識も見誤ってしまうはずです。
その意味で、6日にうお座から数えて「遺産」を意味する8番目のてんびん座で下弦の月を迎えていく今週のあなたもまた、自分がやり残したこと、そして先行世代から引き継いだこととは何かということに、ここで改めて目を向けていくといいでしょう。
初心に返っていく
知らぬ間に親を複製するような人生になってやしないか、植えつけられた他者の意志に振り回され過ぎているのではないだろうか、改めて自問してみるといいかも知れません。
そうして一度明らかな疑念を抱いた者は、自然とそうした疑念を振り払っていくための「禊ぎ」を経験していくことになります。
その意味では今週は、いったん独りになって“間”をとることも必要でしょう。パスカルは「人間は一本の葦であり、自然のうちでもっとも弱いものにすぎない。しかし、それは考える葦である」と書きましたが、実際のところは「考える」だけでは何の解決にもなりません。
しかし、そうしてとことん考えるところまで考えて気が済んだら、後は改めて人といかに交わっていくかということへ真剣に向き合っていくこともできようというもの。人と交わる世間において、何を為すべきで、何を為さざるべきか。それが最終的に焦点となっていくはずです。
今週のキーワード
一本の葦として