うお座
狂人か反骨者か
目的なき人生を生きる
今週のうお座の星回りは、怠け者人生。あるいは、親や社会にどこかで設定されていた「ゴール」を自分なりに設定し直していこうとするような星回り。
かつて中世ドイツでは、現在で言う精神疾患にかかっている病人だけでなく、ろくに働こうとしない怠け者もまた「狂人」として都市の城郭の外へと放り出し、都市の内部で生活する“普通”の人々と隔離しました。
今日ではさすがにそうした過激な措置が取られることはなくなりましたが、しかし、日本社会には厳然と「働かざる者食うべからず」といった勤勉さを尊ぶ道徳観がひとびとの間に根強く残っているように思います。
とはいえ、現実に働きたくない若者は増えている訳ですが、怠ける者はなぜ怠けるのでしょうか。人は「問い」を疑問文でを与えられると、無意識にそれへの「答え」を探し求め、安心しようとする強烈な欲求がありますが、これは逆に言えば容易に欺瞞の源泉にもなり得ます。
現代アメリカの哲学者ロールズがリベラリズムを主張したのは、相対主義や懐疑主義に閉じこもるためではなく、命題は否定することができ、与えられた疑問文を別の問いへと置き換えることをつねに受けつけるはずだ、ということを示すためだったはずです。
幸せとは何か、人生の目的は何か。怠け者というのは、そういった問いへの決まった答えはないのだということを無意識にでも感じ取り、感情的に判断を下さず、答えを保留し続けるだけの精神的強靭さをもった反骨者なのだと言う風にも言えるのではないでしょうか。
15日にうお座から数えて「定められた目的」を意味する10番目のいて座で今年最後の新月を迎えていくあなたもまた、今こそ改めて決断しない強さやリセットする勇気を発揮していきたいところです。
走馬燈体験
別の言い方をするなら、今週のうお座は、胸にぽっかり空いた穴へ向けて、「わたしはあなたを鎮めるために生きていかねばならない」とうそぶいていくようなものとも言えます。
この「穴」とは、身の周りの者、別れていった者、死者など、あなたにとって懐かしさや歓びだけでなく、怖れやためらいの影が差し、時に悔悛の念を起こさせる他者との記憶の断片であり総体であり、頭の中に浮かんでは目の前を流れていく情景でもあるはず。
そして「うそぶく」という言葉には、①大きなことを言う。豪語する、②詩歌を口ずさむ、③とぼけて知らん顔する、④動物が吠える、など幾つかの意味があり、これらを自分の「胸にぽっかり空いた穴」に対して取るべき行動と解する時、自分の中でバラバラだった言動が、さながら走馬燈のように一連の連続ドラマのように有機的に結びついてくるはず。
今週のうお座は、そうしたある種の「弔い」や心の深いところでの対話といったことがテーマになっていくでしょう。
今週のキーワード
ネガティブケイパビリティー