うお座
恋と哀れは種一つ
「切に望む」ということ
今週のうお座は、「恋焦がれる」という感覚の復活。あるいは、かなり離れたものであっても、自分との一体感をかすかに感じていこうとするような星回り。
もともと日本では恋というのは、絶対に成就しないからこそ成立するものであって、もし成就したら理屈の上で考えればあとは崩れるだけであると考えられてきました。
ただ、現代ではそれがすっかりとても耐えられない状態と見なされ、「何もあなたはしてくれない」と否定されるようになってきました。例えば幸せなら、「幸せにしてやる」か「幸せにしてください」の二択で、「確実に幸せにできるかどうかは分からないけど、幸せにしてあげたい」と心から乞い願いながらグーっと押し黙った状態でいるのはどっちつかずということにされてしまう訳です。
その状態でいるからこそ高まってくるトキメキやゆらめき、皮膚感覚のかすかな変化とか、何か判然としないものの重要性ということが見落とされるようになってしまったのではないでしょうか。さらに恋焦がれる状態が続かないから、そこから哲学をしたり、やむにやまれず泣いてしまったり、思いがけず大失敗することもなくなってしまったし、「切に望む」ということも分からなくなってしまったのかも知れません。
11日から12日にかけて、うお座から数えて「生まれ変わるための空白」を意味する3番目のおうし座で下弦の月を迎えていく今週のあなたもまた、巨大な葛藤としての恋や哀れを自分の中に見出し、それをぐっと持続させたり増幅したりしていくことができるかどうかが問われていくでしょう。
すべては最中にある
完全なる完成品ほど未完成に見えるものであり、大いなる技巧ほど下手くそに見えるものだということを、2500年前に生きた老子という人が書いていました(『道徳経』第45章)が、これは逆に言えば、現在の自分に不足を感じつつそれでも生きようとしている限り、その人は大丈夫だということです。
その意味で、今週のあなたは自分の大いなる不足を目の当たりにしていくチャンスを与えられていくのだと言えるでしょう。
それをもって「やっぱり自分はダメだ」「いくつになっても中途半端だな」などと思ってしまうかも知れませんが、そういう人ほど「真実は裏腹」という霊的教えの伝統をよくよく思い出して欲しいのです。
例えば地図というのは、別にすべてがびっしり埋まっていたり、高価な材料で作られた立派な額に入れられていることが大切なのではなく、自分の血肉によってつねに書き足されている最中(さなか)にあるということこそがその本質的な価値であるように。
さあ大変だ、どうやって乗り越えようかという瞬間をどうか少しでも楽しんでみてください。
今週のキーワード
見栄を捨て、アホみたいになる