うお座
底をぬく
突破者になるということ
今週のうお座は、芭蕉の「底のぬけたるもの」のごとし。あるいは、新しい存在の状態を目指してもがいていこうとするような星回り。
芭蕉はそれまでの言葉遊びやお約束事に縛られた俳句から離れて、独自の新しい道を開拓していったことでも知られていますが、俳諧に対する態度をめぐって「底のぬけたるもの、新旧の区別なし」という言葉を遺しています。
人は何か新しいものを創り出そうとして、往々にして既成の基準やそれまでの常識から出発してその圏内をまったく出られないまま終わることがほとんどですが、それについて芭蕉は新しいものと古いものをあまり短いサイクルのうちに求めてはいけないという言い方でいさめています。
さらに、真の「新」とは、「古」に対する「新」なのではなくて、いっさいの既成の基準に頼らず、ほとんど孤立無援の中で必死に求めなくてはならない。それがうまくいったのが「底のぬけたる」状態なのだと言うのです。
27日にうお座から数えて「自己超越」を意味する9番目のさそり座で上弦の月を迎えていく今週のあなたもまた、過去や他人との比較を通じた“相対的に”新しい自分を目指すのではなく、感覚や論理が一変してしまうところまで「底をぬく」ことで、こざかしき現実を突破していきたいところ。
想いは重さを持っている
「革命は、ダイナマイトによってじゃなく、小さい注意心によってなされるものです」と書いたのは寺山修司でしたが、実際、過去や他者に対して批判めいたことをいくら口にして騒いでみても表層をかき回すだけで、「底をぬく」ことは決してできないでしょう。
そういう意味では、今週はどこに注意を向けるべきかという問題を前に、人間の想いというものにも重さがあるということを意識しておくといいでしょう。つまり、想いも古いものほど底に溜まるのです。
そして家や職場、時には業界レベルで、重なりあって想いを支え、バランスを取って安定させているリアリティの支点が必ずあります。それはここだけは変わる訳がないという集団心理だったり、悪臭を放つようになってしまったボトムネックだったりと様々ですが、そういうもうそろそろ無理がきてるバランスを少し崩してあげれば、案外、底というのは抜けてしまうのです。
もしあなたがさっさと逃げることのできない立場にいるなら、てこの原理のイメージで場の想いを支えている支点を見つけ出し、そっとその背中を押してあげたり、ちょっとした心配りで働きやすくしてあげることでささやかでも確かな革命を起こし、新しい風を吹かせていけるよう励んでみてください。
今週のキーワード
支点を崩す