うお座
橋としての自分
静かな思惟
今週のうお座は、「億年の秋日を重ね地層とす」(高野ムツオ)という句のごとし。あるいは、日々の出来事や続けてきた習慣が、1つの知恵や知性へと転じていくような星回り。
人間がどれだけ優れていたとしても、たった1人では地層を作るまでには到底いくまい。
毎日毎日、天にかかる日を浴びながら、大地の上に新たな土は積もり、その土がまた日を浴びていく。気が遠くなるほどの期間、それを繰り返していくことで地層は生まれる。
それは何万年とも何億年とも知れない大事業であり、それに対し人間の寿命はたった百年にも満たない。しかし、少なくとも作者の思惟は掲句においてそんな億年単位の時間を静かに透視しているように思える。
今週は14日(土)にうお座で満月を迎えていくが、その月の光も、もとは太陽から来ているということをここで思い出されたい。
あなたもまた、遠い彼方の宇宙からの光を受けて、地球上で新たな自然を形成するという大事業に関わる者のひとりなのであり、可能と不可能との間に渡された橋のひとつなのだ。
まだ残暑は残りつつも、次第に爽やかになっていく「秋日」は、ふとそんなことを思い出し、日々の営みのゆくえに思い巡らしていくのにはまこと相応しいという気がする。
遠い過去とそう遠くない将来を結ぶこと
もう少し分かりやすい言い方をするならば、今週は「自分という個人がいかに優れているか」ということよりも、もっと大切なことに気付いていくことがテーマになっているのだと言える。
それはあなたが社会のノイズにまみれる以前に、漠然と抱いていた思いや欲求でもあったり、何か誰かから受け取ったものであるかもしれない。
これまであまり自分と関連付けてこなかった全体の動き―例えば生物の陸上への進出などに対して、何らかの自分との「繋がり」を感じ、自分なりの手応えや確信を強めていくことが肝要。
私たちの遠い祖先は水中から陸上へと上がり、そのまま陸を主戦場としたのは何のためだろうか。それと、これから自分がやろうとしてしていることはどう繋がっているのか。
今週は、空間的にも、時間的にも発想のスケールを拡大してみるといい。かえってその方が自分のことがより自分らしく感じられてくるはずだ。
今週のキーワード
億年単位の透視