うお座
初々しさを取り戻す
生まれ変わるいのちのように
今週のうお座は、「たくさんの吾が生まるるしゃぼん玉」(津川絵理子)という句のごとし。あるいは、細胞分裂していくみたいに命を花咲かせていくような星回り。
作者はシャボン玉を吹いているか、誰かが吹いている様子を見ているのでしょう。それを見て、単にシャボン玉の表面に自分が反映しているだけと捉えず、「たくさんの私が生まれ出てくる」と捉えたところに作者の感受性のみずみずしさが伺えます。
まるで春の野原に芽吹いていく花や生命のように、つぎつぎと新しい世界が自分から広がっていくようで、喜ばしく感じられたのかもしれません。
わたしとは、人間とは、いのちとは、つぎつぎと姿を変えつつ生まれ変わっていくものであり、うお座の人たちの場合、下手をすれば“雑多”ともなりかねない目に見えないエネルギーの多彩な発露においてこそ、自分らしさを取り戻していくができるのでしょう。
その中で残るのは、恐らくひとつあるかなしか。それでも、感受性を自分で殺してしまわない限り、うお座の人たちはみずみずしくあり続けるのです。
4月11日(木)よりうお座の副守護星である木星が逆行をはじめ、改めて自分らしさや原点への立ち返りを迫れているうお座にとって、今週はさまざまな角度から一種の“生まれ変わり”を感じていくタイミングとなっていくでしょう。
震える弱いアンテナが
おそらく今週あなたの中から生まれてくるビジョンは、長らくあなたの中に留まり続けることになり、それが少なからずあなたのキャリアや社会的なセルフイメージにも影響を与えていくかもしれません。
というのも、うお座の人にとって感性のあり方が変わっていく時というのは、生物学的な面だけでなく、少なからず文化的・精神的にも変化していく時だからです。
茨城のり子さんは「汲む―Y・Yに」という素晴らしい詩を書いていますが、今のうお座にはまさに宝石のように輝いて感じられるのではないでしょうか。以下、その一部を紹介しておきます。
「初々しさが大切なの
人に対しても世の中に対しても
人を人とも思わなくなったとき
堕落が始るのね 墜ちてゆくのを
隠そうとしても 隠せなかった人を何人も見ました私はどきんとし
そして深く悟りました大人になってもどぎまぎしたっていいんだな
ぎこちない挨拶 醜く赤くなる
失語症 なめらかでないしぐさ
子供の悪態にさえ傷ついてしまう
頼りない生牡蠣のような感受性
それらを鍛える必要は少しもなかったのだな
年老いても咲きたての薔薇 柔らかく
外にむかってひらかれるのこそ難しい
あらゆる仕事 すべてのいい仕事の核には
震える弱いアンテナが隠されている きっと…… 」
今週のキーワード
生牡蠣のような感受性