うお座
次なる試練を待つために
変化に追いつく心を待つ
今週のうお座は、「人の世は待つこと多し水ぬるむ」(梶山千鶴子)という句のごとし。あるいは、ひとつ大きな息をついて落ち着きを取り戻していくような星回り。
まだ少し先の話ではありますが、3月頃、春が近づいてくると、次第に川や湖の水のほか、家庭の水道水などもあたたかくなってきて、それに促されて動植物は蠢きはじめます。そうなると、本格的に寒さもゆるんできて、なんとなく穏やかな気分になってきます。
掲句でも、水辺のそばでそんな季節の移り変わりを感じながら、待ちぼうけでもしているのでしょうか。まあ、そもそも人ひとりだって、自分の思い通りになど決してなるものではないですから、社会や世界なんて言わずもがなでしょう。
そういうことも、息をはりつめるのではなく、一息ついてゆるませることができないと、なかなか心の方でも受け入れられないものですよね。
あるいは、この場合の「待つ」とは特定の他者のことを対象としているのではなくて、日々移ろいゆく現実に追いつこうとしている自分自身の心を待っているのかもしれません。
いずれにせよ、今週はこれまでどこかで張りつめていた緊張の糸をゆるめるように、いったん深く息をはいてから、ゆっくりと着実にみずからの歩調を合わせるべきところへと合わせていきたいところ。
急ぐべからず
かつて「人の一生は重荷を負うて遠き道を行くがごとし。急ぐべからず」と言い残したのは徳川家康でしたが、この一言だけでも、やはり家康が徳川300年の礎を築いた経営哲学の持ち主だったことがよく現れているのではないかと感じます。
ここでいう「重荷」とは、普通に見れば「他人からの期待」であり、より深く見ていけば「偶然という試練」に他なりませんが、得てして私たちというのは与えられた試練を通して関わる人間関係の幅を広げたり、深めていくことができるもの。
家康はそのことをよく理解した上で、泰平の世を築こうとしているならば、慌てず急がず、背負えるだけ背負ってみよう、ということを自身の指針としたのでしょう。
深いはからいやこの世の法則を汲みとるセンス。その一点だけでも、やはり家康は日本史上でも傑出した人物ですが、今週はそんな家康に大いに学ぶことができるはずです。
今週のキーワード
家康の経営哲学