うお座
我は歴史の子
自分という作品を書き継いでいくために
今週のうお座は、空想上の双子と再会していくような星回り。すなわち、歴史の中で繰り返されてきた集合的パターンの中に他ならぬ「私」の姿を見出していくこと。
今日が何の日か、ということを毎日気にしている人はあまりいないかもしれませんが、これは実はとても重要な問題でもあります。
なぜなら過去数千年の歴史のなかで、数えきれないほどの事件や出来事が起こっている訳で、その中からなぜ特定の事件や出来事だけを今日起こったこととして気になったり意識したりするのか、という無意識の取捨選択がそこで働いているからです。
それでも、過去や歴史など自分には関係ないという風に思う人もいるかもしれません。
しかし、ひとりの人間がある時代に生きているということは、それ以前の時代の過去に規定され、また同時に未来への意志によっても規定された現在を生きているということであり、これは自分が生きた証しとして、自分というひとつの作品を書いているのに等しい営みなのだと言えます。
そして、作品を成す一行一行を書いていくということは、これまでの話の続きの中でそれがどんな意味を持つのかを考えていくということに他なりません。
もちろん、ときどき筆につまりますし、しばらくのあいだ数文字も書き進められない時がやってきます。しかしそれは大抵の場合、話の筋を大きく変えたり、大事な箇所を書いていこうする前にやってくるものなのです。
今のあなたもまた、もしかしたらそうした重要な局面に差し掛かっているのかもしれません。だとすれば、それは改めて歴史との絆を取り戻していく節目でもあるのだということを今週はよくよく意識していくといいでしょう。
死者の群れの中で生きている
例えば、ソ連の文学者バフーチンは、文芸作品を解釈することについて、次のようなことを言っています。
「芸術作品はその根をはるか遠くまでに広げているものなのであり、それが創作された時代とは長い複雑な熟成過程をへて結実した果実の取り入れの問題にすぎないのである。作品を同時代と先行する時代の状況のみから理解し、説明しようとすれば、作品のもつ意味論的深さを洞察することはできなくなってしまう」
これは裏を返せば、現在にしか属さないすべての作品は現在とともに脆くも滅びていくのだということでもあります。
今週は願わくば、遡れる限りの歴史のなかで、自分の根となる人物や出来事との絆を少しでも感じとっていきたいものです。
今週のキーワード
大いなる時間の連鎖を生きる