うお座
言霊と昇華
自己の書き換えとしての自己表現
今週のうお座は、「炎天の鳥居平家の悪の華」(三好潤子)という句のごとし。あるいは、何らかの自己表現を通じて、既成概念をめぐるイメージチェンジを図っていこうとするような星回り。
生命力が弱い人や、あるいは弱ってきたときなどは、どうしても自分ひとりでやっていると線が細く頼りなく思えてしまうもので、対象との一体になり方、関わり方に新方法を見つけていくほかなくなっていきます。
つまり、自分に何かを憑依的にのり移らせていったり、逆に対象へと自分の思いをのり移らせて決定的にそのイメージや定義を書き換えてしまったり。
そして掲句は、まさに後者の好例と言えるのではないでしょうか。そういう物々しい言い回しや、派手な描写のなかに、こっそり自分の思いをもぐりこませているようにも思えるのです。
その意味で、今週のあなたは、自分の中の成仏しきれていない思いや、心のうちに巣食った負の想念を昇華してくれるような対象を見出すことそのものが、こなしていくべき大事な課題となっていきそうです。
「それ自身独立の存在」としての言葉
奈良時代の語彙を収集した『時代別国語大辞典上代編』(三省堂)では「言霊」について、次のように解説しています。
「ことばに宿る霊。ことばに出して言ったことは、それ自身独立の存在となり、現実を左右すると考えられた。名に対する禁忌の心持とも共通する信仰・感覚である。神託や呪詞にこの霊力がひそむと考えられたのであろう。ことわざや歌もまた言霊のひそむところであり、それゆえに唱えられ、歌われたものと考えられる。」
「それ自身独立の存在」となった言葉は、あなたから独り歩きして世界を巡り、そこで出会った様々な人間や出来事と結託し、想像を超えた現実となってやがてあなたのもとへ戻ってきます。
帰ってきた現実は災厄となるか財宝となるか。今週は、かわいい子供を旅へ立たせていくぐらいのつもりで、自分の発する言葉を大切にしていくといいでしょう。
今週のキーワード
思いを巡らせ循環させていくこと