てんびん座
中心に寄せる
自分を放置しないこと
今週のてんびん座は、「ヒップホップならば毛糸は編みにくし」(岡田由季)といった句に、確かにそうだとつぶやくような星回り。うわべに惑わされず憂いを寄せ集め、それを丹念に編み上げて明日を生きる力に変えていくこと。
暖炉のそばであたりさわりのない話などしていると、不意に相手が、心に溜めていた想いをぽろっと口にすることがある。もちろん自分でも、なぜか誰にも話すつもりのなかった気持ちが、口からついて出ることだってある。
つくづく、他の誰かと囲う火というものは不思議だ。
どんなに確かなものが何もない状況にあっても、霊的な力というものは、不安定な人間の意識を常に招き入れ、暖めようと待っているのかもしれない。僕らは、どこかでそれを感じとり、そばに寄るのだろう。
冒頭の句も、そんな暖炉のある情景を思わせる。霊的回復の時間には、パチパチと木が爆ぜる音だけが聞こえる、無音の環境がよりふさわしい。
今週は、自分を過去へと引き留め続ける暗い力とは距離をおき、何食わぬ顔で心の暖をとっていくくらいの図々しさを大事にしていこう。
原点回帰へ
日本を代表する仏師・松本明慶氏はある日工房を訪れた人に次のように言ったことがあったそうです。
「わたしたち仏師が仏さまを彫っているのではないのです。木の中にはすでに仏さまが宿っておられるのです。それをノミや彫刻刀を使ってわたしたちが世に出られるお手伝いをしているだけなのです」
と。
仏を世に出すというのは大変な仕事ですが、一体どれほどの祈りで向き合われているのでしょうか。松本氏は17最の時に弟を亡くされたことをきっかけに、仏師の世界に足を踏み入れたのだそうです。
あなたの祈りはどこから始まり、どこへ向かっているのでしょうか? 今週は、一度原点に立ち返ってみるといいでしょう。
今週のキーワード
静かな夜