てんびん座
うちの味づくり
はたらくめいそう
今週のてんびん座は、スティーブン・キングの「創造的な眠り」のごとし。あるいは、夢を見るように作業に没頭にしていこうとするような星回り。
回想録『書くことについて』の中で、キングは小説の執筆を「創造的な眠り」にたとえ、自分の書斎での仕事習慣について、毎晩寝るための準備のようなものだと述べています。
寝室と同じように、執筆する部屋はプライベートな空間でなくてはならない。そこは夢を見にいく場所だ。そこに入る時間は毎日だいたい同じだが、出るのは自分の千の言葉が紙やディスクの上に記録されたとき。スケジュールは習慣をつけるため、夢を見る姿勢を整えるためにある。毎晩同じ時刻にベッドに入ったり、毎晩決まったことをしたりして、寝る準備をするのと同じだ。
たしかにキングが言うように、睡眠も執筆も、物理的にはじっとしていながらも太陽の光の下での合理的で生産的な考えから精神を解放するための営みという点では同じなのかもしれません。
そして、そうであるとするならば適度な運動や食事や寝室のインテリアによって睡眠の質を高めることができるように、起きている時の白昼夢もまた、地道な訓練やちょっとした工夫によってその質を高めていくことができるのでしょう。
9月18日にてんびん座から数えて「自己規律」を意味する6番目のうお座で中秋の名月(満月)を迎えていく今週のあなたもまた、よりより夢を見ていくためにも自分なりの姿勢や習慣、儀式次第などがふーっと湧いてきやすい時期となっていきそうです。
一番うまい酒を作る感じ
目に見えない菌によってもたらされる発酵のプロセスというものを、もし科学的にのみ捉えようとすれば、それは「一番うまい酒」というものも化学式で書けるに違いないとか、何らかのロジックで導き出せるはずだ、という発想になってくる訳ですが、実際には当然そんなことはありません。
なぜなら、発酵と腐敗の違いというのは、あくまで人間が人間の視点で決めたものであり、有益であれば発酵、有毒であれば腐敗であって、「一番うまい」という味の基準も人によって社会によって変わっていく。だから酒造りを追求していくと、生命工学的な観点だけでなく社会学的な観点も必要になってくる訳です。
つまり、自分を中心とした比較的多数の人がおいしいと感じる着地点みたいなところに、色んな試行錯誤やフィードバックの末に落ち着いていくというプロセスがどうしても必要になってくる。そしてこのあたりの話、まさに質の良い白昼夢づくりのためのあれこれという、今週のてんびん座の人たちのテーマにも通底していくはず。今週のあなたもまた、そんな風に自分なりに納得できる味の感じを探ってみるといいでしょう。
てんびん座の今週のキーワード
マニュファクチュア