てんびん座
負けるが勝ちよ
偶然の幸福論
今週のてんびん座は、レコード屋や古本屋の片隅でときたま起きる出来事のごとし。あるいは、偶然のたわむれをできるだけ邪魔することなく見守っていくような星回り。
にんげんの友だちもいるが、にんげん以外の友だちも持ちたいと思う人にとって、レコード屋や古本屋というのは格好の社交場となります。
なぜなら、本やレコードというのは時おり向こうから話しかけてくるから。それは子供の頃に親に枕元で読んでもらった童話のようだったり、雨の夜にひとりでしみじみ聞いたラジオのようだったり。じつにさまざまな語り口や長さでこちらにシグナルを送ってきます。
もちろん、そこに波長を合わせるか否かはこちらの意思やその時々のノリや体調などに任されますし、同じ本やレコードであってもタイミングがずれれば途端に無言になってしまったりしますから、ここでの出会いは生ものであり、ほとんど偶然の賜物です。
それでも、合理的判断に基づいた必然性の追求によってひとは幸せになるのではなく、むしろ出会いのたまたまからこそ、濃密な意味が立ち上ってくるんだということに気付くとき、レコード屋や古本屋はある種の解放区になっていくはず。
24日にてんびん座から数えて「必要な気づき」を意味する3番目のいて座で下弦の月(意識の危機)を迎えていく今週のあなたもまた、てんびん座の得意とする戦略的思考を捨てて、もっとなまの偶然に身を任せてみるといいでしょう。
惚れた者負け
恋愛を筆頭に、誰か何かと深く関わるということは本質的に超絶めんどくさいことです。が、めんどうはめんどうなりに、楽しさがあって、美しさもあって、でもやっぱり汚さもあったりする訳です。そして、そういうあれやこれやを経て、誰か何かを最終的に引き受けたり引き受けなかったりする。
自分が好きだからって、相手が自分のことを好きかは分からないし、仮に好きになってもらえたとしても、そのタイミングでまだ自分も相手が好きかどうかは分からない。そもそも、相手に自分がしてあげられることなんて、本当はこれっぽっちもないかも知れない。自分の方が、よっぽどたくさんのものをもらってしまう。だから結局、恋愛ってそういう「片思い」をみずから引き受けていくことなんだろうなと思います。
人間、相手が何を感じて何を考えどう幸せなのかなんて、最後までわからない。だから、どこかで腹をくくって「それでも好きだから」と言うしかないんでしょう。
うまくいけば今週は、あなたが心から「負けました」と思えるものと出会えたことを、余計なものを交えずに、ただただ純粋に感じていくことができるかも知れません。
てんびん座の今週のキーワード
片思いを引き受ける