てんびん座
腹から始めよ
経過と新興
今週のてんびん座は、「花過の鳥よぎるたび窓の古る」(藤井あかり)という句のごとし。あるいは、重要な別れを告げていくような星回り。
ある春の日の情景を描いた句。自宅の窓からなんとはなしに外の世界を眺めているのでしょうか。
「花過(はなすぎ)」は桜の花のさかりのすぎた頃の意。また、あたたかくなってくると秋にやってきた雁などの冬鳥たちが北へ帰っていきます。
そのため、掲句にもそこはかとなく切ない空気感が漂っており、一羽、二羽と別れを告げる鳥たちが窓をよぎっていくたびに、春の景色を縁取っている「窓」さえもが古びていくように感じているのです。
ここでは無機物のはずの「窓」がまるで生きているかのように、みずから変化していっているかのような印象を受けます。その意味で、「古る」は年月の経過をあらわす「経る」であると同時に、入れ換えを表す「振る」でもあるのです。
4日夜にてんびん座から数えて「社会との関わり方」を意味する10番目のかに座で下弦の月を迎えていく今週のあなたもまた、古いリアリティから新しいそれへと入れ替わっていく実感をひしひしと深めていくことでしょう。
「断」の精神
「断じて行えば鬼神もこれを避く」ということわざがあります。物事は断固として行えば、できないことはないという旨ですが、今の世の中には、この「断」の精神が欠けているのではないでしょうか。
現代のような激しい情報化社会ではスマホやSNSを通して一日に摂取する情報量が格段に増えてしまったために、頭ばかりに気がのぼって常態的に体が興奮状態にあり、四股や腹へと十分に気が降りていかなくなっている人が非常に多くなっているように思います。
「腹を決める」という慣用句もあるように、決断や決心というのは頭ではなく、腹でするものですが、他人であれ、自分の行動であれ、今の時代、みな腹の底から何をどう信じていいのか分からなくなっているのだとも言えるかも知れません。
その意味で、今週のてんびん座は、特に腹に注意をむけ、いつも以上にそこで気を練っていくつもりで過ごしていくことを意識していきたいところ。うまくいけば、おのずと今の自分に必要な決心や決断が為されていくはずです。
今週のキーワード
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