てんびん座
与えられることから始めよう
愛の正当性
今週のてんびん座はマルクスの『経済学・哲学草稿』の一節のごとし。あるいは、愛される側の役割を全うすることで相手に力を与え、しあわせにしていこうとするような星回り。
ここ数年、グローバル資本主義におけるブルシット・ジョブの増大が問題視されるようになってきましたが、労働というものはすべからく必然的に他者とのコミュニケーションを含むものであり、だからこそそこではいかにしてお互いに相手の人格の価値を享受して歓びを感じ合えるかという問題/課題が生じてきてくるということについては、すでに青年期のカール・マルクスが『経済学・哲学草稿』において指摘していたことでもありました。
勃興する資本主義を批判しつつ、労働の意味を肯定的に捉えなおそうとしたこの論考には、他にも次のような注目すべき一節が出てきます。
もし君が相手の愛を呼びおこすことなく愛するなら、すなわち、もし君の愛が愛として相手の愛を生み出さなければ、もし君が愛しつつある人間としての君の生命発現を通じて、自分を愛されている人間としないならば、そのとき君は無力であり、一つの不幸である
後半部分は少し分かりにくいかも知れませんが、ここで論じられているのは、「どうしたら自分が与える愛情に正当性が確認できるか」という話であり、それは自分の誰かへの愛が正当であると感じられるのは、その誰かが自分から受け取るだけでなく、自らもまた誰かに愛を与えるようになった時に他ならないのだとマルクスは言っている訳です。
2月18日にてんびん座から数えて「与えたり与えられたり」を意味する8番目のおうし座に位置する天王星(変革)が土星(慣習)と90度の角度をとって激しくぶつかりあっていく今週のあなたもまた、自分もまた誰かから愛を受け取ってきたのだと思い出していくことを通して、逆に自分が決して無力な存在ではないのだということを再確認していくことができるかも知れません。
自分の後ろ姿を見ていてくれる存在
例え日頃たくさんの人に囲まれ、家族や友人が傍らにいたとしても、本当の意味で心許せる人は数えるほどもいないもの。ただ、誰であれ、自分の「後ろ姿」を見ていてくれる存在を持たない人というのも、いないのです。
それが何であれ、必ず、自分の「後ろ姿」を見ていてくれる存在はいて、そのまなざしに応えることのなかに、幸福というものの実感は生まれてくる。
もし、今あなたにそういう存在の心当たりがないのならば、「心」を後ろにもっていくための方法を発見しなければなりません。それは、ことさえ決断すれば、案外に簡単なことなのです。
心に決めたら、一晩よく眠って、もう一度起きてから考える。寝不足だったら、昼寝してから考える。それだけでも、心は後ろに回ってくるものです。ぜひ試してみてください。
今週のキーワード
贈与の連鎖