てんびん座
精神的な脱皮
問い直しとしての若返り
今週のてんびん座は、「焼鳥焼酎露西亜文学に育まる」(瀧春一)という句のごとし。あるいは、身も心も若返っていくような星回り。
夏目漱石の『それから』において、代助と平岡が酒を酌み交わし、平岡が酔っ払って長広舌を振るっていたその背景にロシア文学の影響があったように、明治以来ロシア文学は日本人の間で読み継がれ愛されてきました。
もちろん、世の中にはその時々のブームというものがあり、ロシア文学の次はサルトルなどのフランス文学だなんだと、それなりに移り変わっていくものですが、掲句はおそらく作者の若かりし頃にあった青春の情景を詠んだものでしょう。
焼き鳥をつまみながら、安い焼酎を呑み、ロシア文学談義に花を咲かせ、人間いかに生くるべきかを問う。そんな青春の3点セットも、中年期になれば車やゴルフやビジネス書へと代わり、語られる内容もおのずと変わっていくものですが、逆に言えば、みずからを変えるのにも、流行りのものを追うより、かつての青春3点セットを再び手に取る方がずっと有効なはずです。
そして、「自らを育んでくれた」という率直な感慨は、つねに「自らを問い直さねばならない」という問題意識や追及と表裏の関係にあります。
15日にてんびん座から数えて「精神的な生き返り」を意味する3番目のいて座で今年最後の新月を迎えていくあなたもまた、一周まわった自分へのツッコミを賦活剤として投入してみるといいでしょう。
新鮮であろうとすることに伴う痛み
たとえ恵まれた状況にいたとしても、あなたにはどこかで「自分には、まだ実現されてない願いや、機能していない能力がある」という漠然とした思いを抱えているのではないでしょうか。
そうした事態は一般的には「不幸」や「不運」と呼ばれ済まされるものですが、あなたにはその「不」が矢印のように、つまり「幸せ」や「運」の在りかを指し示すもののように見えているのかも知れませんね。
一時の苦痛よりも、真実を選びましょう。
今てんびん座のあなたには勇気が味方しています。
今週のキーワード
初心に返る