てんびん座
神ではなく草に祈る
ささやかだけれど不動の基準を
今週のてんびん座は、「死ぬときは箸置くやうに草の花」(小川軽舟)という句のごとし。あるいは、静かで控えめな充足感をみずからの基準にしていくような星回り。
食事を終え、その余韻を味わいながら、何気なく箸を置くように、最期のひと時を迎えていきたい。そんな誰もが思い描くようなささやかな願いを込めた句ですが、しかし、現実にはなかなか叶うことが難しいことでもあります。
生の多くは、その途上で強制的に終わってしまう、おそらくそれが自然の姿なのでしょう。だから大輪のバラを咲かせるような立派な最期をとまでは思わない。せめて道ばたや野原に咲く「草の花」のように、ささやかな充足を感じていきたい。
こうした願いは、今を生きるのに必死で、それだけではどうしても呼吸が浅くなってしまいがちな人にとって、大きな支えになるでしょう。他でもない、癌で闘病中だった作者の母親がそうでした。
2月24日(月)にてんびん座から数えて「自分なりの美学」を意味する五つ先のサインであるうお座で新月を迎えていく今週は、呼吸の乱れを律して細く長い息を吐いていくべく、自分が遂げていきたい‟ささやかな願い”を念頭に置いていくといいでしょう。
深きも浅きも息一つ
現実的な困難であれ、処理しきれない感情であれ、時が経てば自然とおさまってくるものですが、それを早めるも遅らすも、心の使い方ひとつ。
そして、そのもっとも顕著な現われとしての「息」の仕方次第で自在に変わってくるのだと、‟整体”の創始者である野口晴哉は述べています。
「時を知り 自然を知る者は いつも静か也
可し可からず(べしべからず)の檻の中で窒息しかけてゐるのは
天行の健やかなるを知らざる人也空の青きを知らず 日の輝けるを見ず 自分の影に怯えてゐる也
山の高きは人間が高きと思ふがゆえ也 思はねば月も冷たき石也海の深き 河の速き 人間がさう思ふからさうある也
高きに非ず深きに非ず ただ人間の息が短き也」
今週は、まずを深呼吸をひとつして、息を深めていくところから始めてみてはいかがでしょうか。
今週のキーワード
雑草魂