てんびん座
円を描くように
深みと丸みは比例する
今週のてんびん座は、「山鳩よみればまはりに雪がふる」(高屋窓秋)という句のごとし。あるいは、キュッと縮こまっていた輪郭が不意にほどけて緩んでいくような星回り。
山鳩の啼き声というのは実にわびしさを誘う声ですが、それを包むように雪が降っているのだという。そういう光景を詠んだという、ただそれだけの句なのですが、口に出して詠んでみると、そこに作者なりの心が込められていることが分かってきます。
まず注目したいのが、「山鳩よ」の「よ」。
これは呼びかけというより、親愛感の表出の助詞とみるべきで、それに続く「みればまはりに」という言葉遣いを鑑みるに、寒さで縮こまってしまっている山鳩に、「まわりに降っている雪をごらんよ」とやさしく言い聞かせているような感じさえしてくるのではないでしょうか。
視覚だけで捉えると平板になるものが、音にしてみると意外な奥行きが広がって内容が変化してくる表現の巧みさは、この作者の俳人としての深みにも通じているように思います。
2月2日(日)にてんびん座から数えて「感情のコミットとそれによる変容」を意味する8番目のおうし座で上弦の月を迎えていく今週のあなたもまた、何か誰かに心を込めて接していく中で、もつれた感情が不意にほどけていくという経験をしていくことができるかも知れません。
からだに温もりを、運気に滋養を
丸みを帯びたものには、気を円の中心に向かわせる力がありますが、例えば家庭のリビングに丸テーブルがある家族は、普段から家族仲がよかったり、いざという時の結束が固かったりすることが実際あります。
いわば、今週のあなたの課題は、特に切迫していたり緊張感のある状況や文脈の中で、まあるく円を描くような動きができるか、あるいは、そうした円の精神を自分の周囲に宿していくことができるか否かにあるのだと言えます。
人との繋がりに丸みが出てくると、そこには体温が宿ります。そして、そうした温もりこそが人の運気を育てる。
今週はぜひそんなことを頭の隅に置きつつ、一週間を過ごしてみて下さい。
今週のキーワード
格闘する者に〇