てんびん座
コスモスと秋の風
空気がひんやり澄んでいく
今週のてんびん座は、「嘘すこしコスモスすこし揺れにけり」(三井葉子)という句のような星回り。あるいは、引くべきタイミングを知り、前に進んでいく時を知っていくこと。
コスモスは「秋桜」とも書き、日本中の土手や原っぱだけでなく道端でも見かけることのできる日本の秋を代表するものの一つです。
しかし実はもともと原産地はメキシコ高原で、日本に入ってきたのは明治時代なのだとか。つまり、コスモスの演出する「日本らしさ」というのは一種の嘘なんです。
けれど、コスモスの嘘にはどこかほほえましいものを感じてしまう。
それどころか、嘘をまぜつつ風に揺れているコスモスには、どこかあやしくはかない色香のようなものが漂っています。
愚直に真実一本やりで勝負するほど子供でもないし、嘘をかたくなに突き通せるほど鈍感でもないてんびん座のあなたにとって、今週はあらためて自分の立ち位置やスタンスを確認していくようなタイミングとなっていくでしょう。
秘すれば花
コスモスというのは、枯れずに咲き続ける強靭さを持っていることでも知られていますが、逆から考えてみると、こうした「気が付かない内に誰かを踏みつけにしてしまう」という状況はなぜ起こってしまうのでしょうか。
恐らく、そうした傾向のある人というのは、普段は周囲に対して控えめで、自己主張することもほとんどなかったりするのではないかと思います。
受容的だからこそ、そういう人というのは大声で喧伝されている企業や政府のメッセージに従い、常に遠い彼方の何かのために戦う一方で、道すがら咲いている可憐なコスモスの花を踏み潰してしまうのではないかと。
そういう中途半端で覚悟のない人間に、自分から半身を差し出してやる必要はないのだと、すでにあなたも分かっていることと思います。
変にタフさを歌うより、咲くべき場所やタイミングを見極めるのが、「秘すれば花」を身上とする花の生き方。
今週はひとつコスモスになったつもりで、草葉の陰に目をこらし、露の世を楽しむといいでしょう。
今週のキーワード
コスモスはギリシャ語で「宇宙、秩序」の意