てんびん座
花のエロス
危険を冒してこそ
今週のてんびん座は、蔓を上にのばして高みをめざす朝顔のごとし。あるいは、強烈な情念―エロスに突き動かされていくような星回り。
翼をはやした無害な幼児の姿で連想されることの多い「エロス」は、そもギリシャ神話においては最古の神々のひとり。
「愛する(エマライ)」などの関連語の一族を伴なって日常会話に頻出する抽象名詞でもある一方で、それは古代ギリシャの人々にとって常にいきいきとした具象的意味合いに充たされたものであり、それがゆえに時に人間にとって危険なダイモン(神霊)でもあったのです。
「エロスは彼の時にあわせて来る
誕生の地なる美しいキュプロスの島を去って。
エロスは来たる、地上の人間のために
種子をまき散らしながら。」
例えば紀元前6世紀に歌われたこの詩においても、エロスは気まぐれな恋の兆しというよりは、生きとし生けるものに訪れる宿命的な生の衝動を表していました。
その意味で、16日(金)にてんびん座から数えて「炎のような熱中」を意味する5番目のてんびん座で満月を迎えていく今週は、それをせずにはいられないモノやコトを、危険を冒してでも求めていくことになっていくでしょう。
思いを花束にして
例えば、誰かに何かを贈呈しようという状況において、狭い心は厭わしい。というのも、狭い心には善も悪も居場所がないからです。
花束を贈るのに、善人でなければならないという条件がある訳でもなし。むしろ、古来より美しい花には毒はつきものだった訳で、渡す相手の死を誘うための花束だってあったはずです。
例え、それが怒りや憎しみであれ、好奇心や思慕であれ、へたに抑え込むのではなく、それら全てをひとつにまとめあげ、贈呈していくこと。
それがたとえ徒花であったとしても、自分ひとりで膨れあがっているより、手向けにした方が余程いい。それがほんの一刺しになるのか、それとも大いに元気づける結果となるか、賭けてみるのも一興だろう。
今週は、そんなふうにいつも以上に自分をさらけ出す勇気と積極性を発揮していくことができるはずです。
今週のキーワード
あだ花を咲かせる