てんびん座
予定調和をかき乱す
ささやかな抵抗
今週のてんびん座は、さながら「動的平衡」のごとし。あるいは、暗黒めいた考えを、みずから招き寄せていくような星回り。
この宇宙は大原則として、あらゆるものがエントロピーが増大する方向にしか動きません。つまり、秩序あるものは混乱し、集まったエネルギーは分散していく定めにあるのです。
ただ、そうしたエントロピー増大の法則に対して、絶え間ない‟抵抗”を行っているのが人間の身体であり、そのひとつひとつの細胞なのだそう。
先の法則にしたがって、作られた細胞はやがて壊れていきますが、自然に壊れるのに先回りして自分を壊し、その不安定さを利用して新しい細胞を作り出す活動をしているのです。
生物学者の福岡伸一さんは、こうした絶え間なくすべての細胞を入れ替え続けることで「生きて」いることを可能にしている細胞レベルの抵抗を、生命の「動的平衡」と呼んでいます。
今週のてんびん座もある意味で、これと同じことを行おうとしているのかもしれません。
破壊か想像か、神か悪魔か
例えば、蜘蛛は何もないところに巣を張っていくという創造的行為から、北欧神話などでは「繁栄」や「知恵と労働」のシンボルとされてきました。
一方で、暗闇で活躍し、他の虫を罠にかけてその体液を搾り取ることから、キリスト教では「悪魔」「強欲」「狡猾」など真逆の意味を表す象徴ともされてきました。
ただ、その目的が創造と破壊のいずれかに映るにせよ、巣づくりという行為自体は明らかに未来を見据えた行動であり、よりよい未来を築くためのネットワーク環境の整備でもあります。
とはいえ、創造目的だけで巣をつくる蜘蛛なんてのもいませんし、逆も然り。彼らはそれについて自分を責めることもなければ、余計な言い訳をすることもありません。
人間だってそんなふうに、素直に認めてしまえればいいのかもしれませんね。
今週のキーワード
水面に跳ねる一匹の魚