てんびん座
必然性を研ぎ澄ます
すくい取るべきものを見出すために
今週のてんびん座は、須賀敦子の『霧のむこうに住みたい』のごとし。あるいは、「となり町の山車のように」今の自分に必要な物語要素を数えあげていくような星回り。
起こった瞬間においては、その価値や意味が分からない出来事がある。それは人の心の奥深くに入り込み、長い時間をかけてかたちをなし、再び意識の表面に浮上してきたところで、ようやくすくい取られていく。
それは誰かに言われた言葉だったり、目にした光景だったり、あるいはあるひとりの人物の影響そのものだったりと、人によってまちまちですが、私たちのこころには大抵はどこかでそういうものが2、3ひっかかっていては、すくい取られる瞬間を待っているのではないでしょうか。
須賀敦子の文章はどこか、そんなかすかな記憶の底からそっとすくい取られたようにして綴られていますが、例えば下記の箇所などは今週のてんびん座の人たちがなすべきことを簡潔に暗示しているように思います。
「「線路に沿ってつなげる」という縦糸は、それ自体、ものがたる人間にとって不可欠だ。だが同時に、それだけでは、いい物語は成立しない。いろいろ異質な要素を、となり町の山車のようにそのなかに招きいれて物語を人間化しなければならない。」
不自然さを取り除く
言葉選びだけでなく、パートナーであれ、日常のちょっとした取捨選択であれ、「何が自然か」という基準で考えてしまうと、とたんに迷いが増えていき、どこへ向かって誰の手をどんな風にとればいいのか、かえって分からなくなってくるものです。
その意味で、17日にてんびん座から数えて「心理的基盤」や「心の安寧」を意味する4番目のやぎで満月を迎えていく今週は、特にそうした「自然さ」ではなく「不自然さ」ということがあなたの基準となっていく。
判断や選択に迷ってしまった時は、「何がより不自然か」を問い、真実味を感じず、何かこころにザラリとした感触を残すものを極力避けて、生活の中から排除していくこと。そうしたものが一つ取り除かれるごとに、「必然性」というものは次第にくっきりと浮かび上がってくるはず。
今週は、正しい選択ができるようになるための訓練の時だと思って、ひとつひとつの取捨選択を丁寧に見定めていきたいところです。
今週のキーワード
縦糸と横糸