てんびん座
吾輩も猫であれ
猫という流動体
今週のてんびん座は、「ネオン管自在に曲がる猫の恋」(矢野孝久)という句のごとし。あるいは、二律背反するものが混ざり合い、ひとつのうねりを作り出していくような星回り。
店名や広告へと形を変えて、場末の路地裏を妖しく照らすネオンの光。早春の発情期を迎えた猫は、待ってましたとばかりに毎夜街へ出歩き、夜が明けると憔悴した顔で帰ってきたりして、まるでその日暮らしの若者のよう。
傷つくことは怖いけれど、何かを求めずにはいられない。そんな葛藤をぐっと飲み込むようにして、ネオンの光る夜の街を今日もからだをくねらせ闊歩する。
そうした切なさと所在なさ、あるいは雄々しさと柔らかさが一体となったような「恋猫」の風情は、どこか今週のあなたの後ろ姿に通じるものがあるはず。
今の自分に欠けているものは何か。あるいは、自分とは正反対だけれどなぜだか手を伸ばしたくなる相手はいるか。
こうした問いへの答えを明らかにしていくためにも、今週はいっそ「恋猫」にでもなったつもりで人と人のあいだ、街と街とのあいだを流れてみるといいでしょう。
虚構から逃走せよ
今週は言い換えれば、犬のようなパラノ(偏執)から猫のようなスキゾ(分散)へ、すなわち何か特定のことにこだわってふんばる態度から、いろんな矛盾を引き受けつつも、即座に水に流し、流れ流れていくような生き方へとシフトしていけるタイミングと言えます。
特に気合で何とかするとか、頑張れば絶対に結果につながる、なんてマンガ的精神論は今すぐに捨ててしまいましょう。
あるいはもし今あなたが抱えている利益や立場を大事に感じていて、現行の制度内に安住しようとしているなら、その制度や安定の虚構性をもう一度疑ってみる必要がありそうです。
脳というのは絶えず誤作動を起こしているもの。いったん対象と距離をとって、猫の目線となって「ニンゲンの現実」を見つめ直してみることをおすすめします。
今週のキーワード
野良猫の色修行