てんびん座
日常のなかに静寂を
白い反射板を通して
今週のてんびん座は、「音のなきひかりの怒涛白障子」(中村正幸)という句のごとし。あるいは、身近な場所に、非日常を見つけていくような星回り。
真っ白な障子に、冬の太陽の光が激しく打ち寄せる波のように砕けている。 海外から来た人などによく日本人は街の騒音に鈍感だと言われますが、確かに私たちの日常世界には音があふれているので、なかなか宇宙の静かさに気が付かない。
ところが、掲句ではふとした瞬間に宇宙の静寂が目の前に姿を現わし、光の怒涛として経験されていく。
もしかしたらそうした非日常的な体験というのは、自分の身の周りにある雑音が何かの拍子で消えてしまった時、突如として私たちに開けてくるアナザーワールドとして存在しているのかもしれない。
ちょうど、太陽の光を冷たく反射する月が、古来より日本では別世界の代名詞であったように。
実際、月が反射しているのは太陽光線全体の約7%だということですが、人間にとってはこのあたりがちょうどいいのかもしれませんね。
月は太陽から来る余分な光線をみな吸い込んでくれて、紫外線系だけを反射している。そして、この紫外線が植物の発芽や生育の引き金となっているのです。
今週の、そして2019年のあなたもまた、自分の日常から余分な騒音をふるい落とし、静寂を取り戻していくなかで、先の未来にまで繋がっていく生のラインを見出していくことがテーマとなっていくでしょう。
瞑想的な日常
この世の喧噪や、欲望のもつれを散々経験した後、それに嫌気が差して軽蔑的に振る舞ってしまう人はたくさんいますが、今のてんびん座であれば、そうした俗世間や自らの過去の体験に対して、どこか霊的に豊かな意味合いを見出していくことができるでしょう。
それもこれも、そうした過去の環境とは対照的な、静謐さや穏やかさを自分の手で作り出していくことができるようになったおかげ。
家事や事務など、こまごまとした雑務を丁寧にこなしたり、自分で決めたスケジュール通りにきちんと生活していくことの効力は、どうにもならないことばかりのこの世界で、多少なりとも自分でどうにかできる領域があるんだと実感し、「ささやかな自分の居場所」を見つけていく中で真価を発揮します。
あるいは今週は、そうした「自由」ということにまつわる矛盾をあらためて実感していく時なのだと言えるかもしれません。
今週のキーワード
浮世と小舟