しし座
雌伏のときに見る夢は
密林の虎となれ
今週のしし座は、「日に吼ゆる鮮烈の口あけて虎」(富澤赤黄男)という句のごとし。あるいは、湧いてきた幻想や感情をストイックにとことん突き詰め、結晶化していくような星回り。
新緑の季節は、しし座のあなたにとってまさに「虎視眈々」と自分の季節である夏が到来するのを、じっと待ち続けていく我慢の時期とも言えるかもしれません。
虎の眼が、どんな困難の最中にあったとしても、輝きを失くことなく爛々と強い光を放ち続けているように。
内側から湧いてくる不安や疑い、寂しさ怒りなどをいかにして跳ね返すことができるか。そんなことが、今あなたは問われつつあるのでしょう。
そういう意味では、掲句のような勇ましい情景の実現は実際にはまだ少し早い。ただ、そんな情景を頭に思い描きつつ、そんな状況を乗り越えていけたとき、それまでのネガティブな感情や幻想は、必ずやあなたの糧となり、あるいは大いなる武器となっていくはずです。
気を引き締めて、今週に臨んでいかれますように。
ささげる相手を持つこと
かつて松岡正剛はアレン・ギンズバーグの『吠える(Howl)』について、「ぼくが好きな詩とはいえないが」と前置きしつつ、次のように評していました。
「それは幻覚っぽくて前兆めいていて、ジャジーであって露悪的であり、反ヘブライ的なのに瞑想的で、夜の機械のようでも朝のインディアンのようでもあるような、もっと言うなら、花崗岩のペニスをもった怪物が敵陣突破をはかって精神の戦場に立ち向かったばかりのような、つまりはビートニクな言葉の吐露だった。」
改めて読んでみると、なんだか今週のしし座の星回りをちょうど真横から眺めた人の感想のようにも思えます。
つまり先の文脈で言えばギンズバーグという詩人は、彼が見ていた悪夢や幻覚を右から左に結晶化していくことのできた稀有な人物だったのでしょう。
そしてギンズバーグを導いたのは、おそらく彼が詩をささげた友人であり詩人のカール・ソロモン。つまり、ギンズバーグは詩をささげる相手を持つことで、見ていた夢を追い続け、結果としてそれが形となってこの世に残っていったのです。
そういう意味では、自分を導いてくれる相手を持てるかこそが、今週の焦点と言えるのかもしれません。
今週のキーワード
ビートニク・ジェネレーション