しし座
肉声を伝える
破調の美学
今週のしし座は、「今生の汗が消えゆくお母さん」(古賀まり子)という句のごとし。あるいは、落ち着きつつも、内面に大いなる調子外れを含んでいくような星回り。
「今生の汗が消えゆく」は、人が死んでいく様子を詠っているのでしょう。鬼気迫る表現と言わざるを得ません。
確かに生理的物理的現象としてはそうなのですが、肉親の死に際してそこまで平然としているためには、これまでどれほどの修羅場や覚悟を乗り越えてきたのか、ということをつい考えさせられてしまいます。
しかもそうして前半クールに決めておいてからの、「お母さん」ですから、余計に生々しいというか、しぼりだすようにかすれ声まで聞こえてきそうです。
これはしし座特有のドラマチックな演出にも通じるような、あえて調子を崩して緩急をつける俳人の技(「業」)とも言えるかもしれません。
今週はあなたがこれまで乗り越えてきた経験を惜しみなく発揮しつつも、最後には魂の叫び声のような「肉声」を周囲に届けていくことができるはず。腕の見せ所です。
言いたいことが言える場をつくる
言いたいことを言える場を作れ、と言われて真っ先に思い浮かべるとしたら、それはSNSなどのサービスでしょう。
ネットが普及して以来、公衆トイレや電話ボックスなど、公共の場へのラクガキが減ったという話があります。ですがネットは匿名で済ますことができる反面、自分の言った言葉への反応を自分の責任で引き受ける「生々しさ」からどうしても遠ざかりがち。
これは一見傷つくリスクを抑えられるというメリットがあるように思えるかもしれませんが、上記に書いたような破調を肉声で伝えるには向いていません。
単に情報を伝えるだけならともかく、匿名だとどうしても伝えられる温度感に限界がある。 だから、今週はぜひ自分が顔をさらして何かを伝える場を探してみてほしい。探せば必ずどこかにあるはずです。
今週のしし座へのキーワード
アンチ匿名