しし座
ゆるキャラはごろつきです
ごろつきになりましょう
今週のしし座は、さながら地元の観光大使に就任した「ゆるキャラ」のよう。頼まれごとはもちろん、自分がしたくてしていることであったとしても、今週は特に予定やタスクを「仕事」として意識して真面目にこなそうとし過ぎると、かえって面白みに欠けて盛り上がらず、本領を発揮しにくい星回り。
とはいえ、どうにも「これがウチのイチオシです!」が透けて見えてしまうゆるキャラ(というか全国市役所観光課のおじさん)の独り相撲ぶりが著しい昨今において、活動方針をどのあたりに着地させればよいのか?端的にいえば、それは「ごろつきに見えないごろつきになれ」である。
ごろつきとは、あちこちをうろついて、他人の弱味につけこんでゆすり、たかりなどして回るあれである(ハロウィンの日に沢山いますね)。赤信号、みんなで渡れば怖くない。でもひとりで渡っても大して怖くないです。さあ、ごろつきになりましょう!
気分本位と野生味と道徳
ゆるキャラ。その本質は、着ぐるみ姿の中に潜むまったく「ゆるくない」ところにあるのですが、民俗学者の折口信夫は「ごろつきの話」(1928)という文章の中で次のように書いています。
「後世の侠客・ごろつきの中には、多少それに似た道徳感が流れてゐた。睨まれゝば、睨み返すのが、彼等の生活であつた。即、気分本位で、意気に感ずれば、容易に、味方にもなつたが、また直に、敵ともなつた。」
この「気分本位」という言葉から匂い立つ野性味!これこそ、今週のしし座が目指すところのものと言えます。
折口はさらにこう続けます。
「我々が、多少でも、かうした気分を味ひ得たのは、釈場に於てゞあつたが、それも、今日では極めて淡いものになつてしまうた。時代々々の道徳の力は、あらゆるものを変化せしめずには置かない。同時に、時代々々の文芸・芸術は、此と交渉なしには生れない。現代の道徳は立派であると言へよう。だが、今日では、多少、それが固定したと思はれる。随つて、感激性を失つた。」
ごろつきは、何よりも立派だが固定した道徳をゆするのです。
今週のキーワード
ゆるキャラの本質、ごろつきになる、折口信夫『ごろつきの話』、固定した道徳をゆする、物を売るな、感激させろ!