しし座
理想との隔たりに注意を向ける
最初の一歩は大またで
今週のしし座は、デ・ボーノの「不可能からの発想法」のごとし。あるいは、自分の望みは何か―何を望まないかに実際に思い当たっていこうとするような星回り。
問題解決法の専門家エドワード・デ・ボーノは、問題が起こったときに取るひとつの方法として、不可能からの発想法というものを推奨しています。
それによればまず、完璧な解決を想像することから始めるのだそう。もちろん完璧な解決というのは、実際にはコストが大きすぎたり、物理的に不可能である可能性が高い訳ですが、ここでポイントとなるのが、そこですぐに立ち止まったり、諦めてふりだしに戻るのではなく、完璧だが不可能なこととスタート地点の「中間」の地点にある、可能な解決まで、その可能性に現実味が出てくるまで、ゆっくりと戻っていくこと。
つまり、問題が起きてからの最初の一歩は、現実味などなくても、とにかく大またで大胆に踏み出すこと。さもなければ、いつまでたっても前進は望めないどころか、尻込みして後退して事態がさらに悪化することだって珍しくありません。
最善でも完璧でもなくても、手始めの非現実的なアイデアが、現実的な別のアイデアへとつながっていくことだってあるかも知れない。「中間的」な解決というのは、得てしてそうしたアイデアや視点の切り替えが起きていくなかで初めてたどり着くことができるものなのです。
16日に自分自身の星座であるしし座で下弦の月を迎えていく今週のあなたもまた、少なくとも目の前の事態についてただ不満や愚痴を口にしたり、プライドに固執して一歩も動けなくなったりしがちな状態を断ち切り、次の一歩を踏み出していくことができるかどうかが問われていくはず。
シモーヌ・ヴェイユの「注意と意志」の問題
彼女の断章集『重力と恩寵』(1947、田辺保訳)の「注意と意志」という章には、「求めている目的とは反対の結果を生むような努力がある」として、「イライラのこうじた信心家、えせの禁欲、ある種の献身的行為など」といった具体例が付けられています。
これらは努力の目標であるものに、自分が従属してしまって囚われてしまっている訳ですが、著者はさらに「首尾よく目的にたどりつけなくても、つねに有用な努力もある」として、「どうして、その見分けをしたものか」と自問した上で、こう答えてみせるのです。
おそらく、先の努力には、自分の内部の悲惨さを認めぬということが伴っているのだろう。あとの方の努力には、あるがままの自分の状態と、自分の愛するものとのあいだの隔たりにたえず注意を集中しているということが伴っているのだろう
つまり、分かりやすい報いをあまりに求めすぎているような努力は「よくない求め方」であり、報いを隠し持っているような努力だけが「有用な努力」なのだということ。
その意味で、今週のしし座もまた、自分の追求している「理想」や「完璧」の前であえていったん後退してみせることができるかどうかが課題となっていくでしょう。
しし座の今週のキーワード
遠回りすることだけが効果をあげる