しし座
記憶と概念の配置転換
これまでと異なった並べ方をしていくべし
今週のしし座は、巧みにボールを操るプレイヤーのごとし。あるいは、古くて新しい「新しさ」をみずから体現していこうとするような星回り。
真の意味でのオリジナリティが言葉や概念のまったき新しさにあるとすれば、新しいものを創り出せる人間というのは、世の人が我こそは盛んに口にするほど実在しないはずですが、実際には「新しさ」というものはもっとグレーな領域を含めて使うことが許されている言葉であるように思います。
例えば17世紀フランスの哲学者パスカルは、さまざまな思弁がまとめられ死後出版された『パンセ』のなかで、こんな風なことを書いています。
あいつは新しいことは何一つ言っていない、などと非難しないでほしいと思う。というのも、わたしの場合、新しいのは内容の配置の仕方だからだ。ジュ・ド・ポーム(手袋でボールを打つテニス)をするとき、どちらのプレイヤーも同じボールを使うが、一方のプレイヤーのほうがもう一方のプレイヤーよりも巧みにボールを送るものだ。(中略)同じ言葉でも異なった並べ方をすると別種の思想が生まれるのと同様に、同じ思想であっても、それが異なった並べ方をされると、別の論旨がかたちづくられるものだからだ。(断章二二)
パスカルからすれば、古い言葉であっても、それをその時どきの文脈に組み合わせてアレンジすることができるならば、それはつねに新しいのであり、彼は「自分はむしろ昔から使っている言葉を使っていると言われた方が嬉しい」のだとも書いています。
同様に、5月5日にしし座から数えて「社会的目標」を意味する10番目のおうし座で「天邪鬼」の天王星と「主体性」の太陽が重なっていく今週のあなたもまた、むしろ時代と逆光するような古い言葉、古い概念をこそ、今という時代にアレンジしていくことを目指してみるといいかも知れません。
アレンジの内実
配列や配置を意味する「アレンジ」という言葉の内実をより深く追っていくと、そこには「ネクサス」と「パッセージ」という2つのプロセスが働いていることがわかります。
前者には、「連鎖」や「結合」といった意味があり、後者には「推移」や「通過」といった意味がありますが、新たなアレンジというものが成立するのは、その2つの意味が交差しながら脈動していくようなときなのではないでしょうか。
その中で、何か新たに関係を結んでいくようなエネルギーが生まれてきたり、それと同時に自動的に過去のデータを消去していったり、はたまたフォルダが整理されていくうちに、しばらく閲覧していなかったデータが、不意に浮上してきたり。
今週のしし座はもっぱら、そうしてしばらく血の通っていなかった部位に血を通していくような作業に没頭していくことで、みずからの立ち位置におのずから変化を引き起こしていくことになるでしょう。
しし座の今週のキーワード
かつて「通過」したものと「結合」そして「連鎖」することで「推移」していく