しし座
業と綿毛
地べたに咲く花
今週のしし座はまるでタンポポ。あるいは、「田舎の神託」というその花言葉のごとし。
「タンポポ」は古来より日本の人里に咲いてきたキク科の多年草であり、その名の由来は、鼓の音であるタン・ポ・ポから来た幼児語で、また花のかたちや地べたに直接広がるロゼット状の葉のかたちなどから命名されたのだそう。
タンポポ好きの文人であった、澁澤龍彦は『玩物草紙』において、自身がタンポポ好きな理由を「日本の原野に昔から自生していたはずなのに、花鳥風月的な情緒に汚染されていないところが何よりいい」と述べています。この「花鳥風月的な情緒による汚染」という話は、いまの獅子座の抱えている問題点を端的に言い表したものとも言えるのではないでしょうか。
それは生活感覚の著しく欠如した公家や武家など支配者側の論理の形式的模倣であり、驕りとの無意識的な合体。
20日にしし座から数えて「高い理想」を意味する9番目のおひつじ座へ太陽が入り、春分を迎えていく今週のあなたもまた、知らず知らずのうちに自身を「高嶺の花」に置いていないか振り返りつつ、春の田んぼの畦に咲くタンポポのような素朴な喜びに立ち返っていくべし。
綿毛吹き業を占う
今週、他の何よりも鍵になってくるのは「傲慢さ」です。より厳密に言えば、弱さの裏返しとしての傲慢さを、傲慢であると人から断じられることを承知したうえ、もはや隠すことなく強烈な自己主張として誰かに突きつけていくことができるかということ。
突きつけるということは、まだその誰かと共に生きていく、という選択をすることでもあります。これは安易に「許す」とか「断ち切る」ことより、ずっと深い覚悟や勇気がいることでしょう。
人が誰かと生きていく以上、傷つき傷つけられることは避けられません。時には、恨んだり恨まれたりすることもあるでしょう。仏教ならそれを「業」と表現しますが、今週あなたが目指していく姿は、業を引き受けつつも、業の渦なす底を突き抜けた先に、何か光のようなものを見ていこうとすることです。
今週のキーワード
花鳥風月的な情緒に汚染されないということ