しし座
いったん黙れ
奥底まで削ぐ
今週のしし座は、「春寒(しゅんかん)のケシゴム一行の字をそげり」(鷲巣繁男)という句のごとし。あるいは、もやもやを根本から断とうとしていくような星回り。
作者は戦時中に傷病兵として入院中に句作を開始した人で、掲句は俳句入門一カ月以内に詠まれた句とのこと。
触ると冷たい、春先の冷気が凝縮したようなケシゴムを握って、「一行の字をそげり」。この「一行」とは、おそらくノートに書きつけた自作の俳句のことでしょう。
それも、ただ「消した」のではなく、その一句を残しておくことがどうしても許せなくて、「削いだ」のです。表面的なところの、もっと奥底にあるものを削り取るように。
現代人は、SNSなどで無意識に言葉を紡ぎ、生きていますが、言葉を削ぐ行為にむしろ詩情を感じていた作者の後ろ姿には、どこか今を生きる私たちにも通じるところがあるように思います。
16日(日)にしし座から数えて「背景の問題」を意味する4番目のさそり座で下弦の月(意識の危機)を迎えていく今週のあなたもまた、いい加減これをやっつけておかないとやばいぞと感じている問題と向き合い、対処していくことがテーマとなっていくでしょう。
運気の管理
働く人の日常は、どこか長距離自由形の水泳競技の様子に似ています。ルール上は思い思いの泳ぎ方が許されているはずなのに、気付けば周囲はみんなスピードの出るクロールばかり。
そんな中で、少しでもラクな息継ぎを模索したり、体力を消耗させずに泳ぐコツを身につけつつ、前進前身の日々を送っていく。
しかし、長い距離を泳いでいると、どうしても自分でも気付かないうちに次第にフォームは崩れ、無駄な動きが増えていき、やがて息継ぎのポイントもずれたり、溺れる寸前までいってしまったりすることがある。
そういう意味で今週のしし座は、レースの途中にいったんコックピットに入ってフォームを見直し、リズムを整えるべく、大きく深呼吸をしていくようなつもりでいるといいかも知れません。
特に、最近なんとなくダルいなとか、ぱっとしない、ついてないと感じている人にとって、今週は自身の不運体質を引き締め直すのにはちょうどいいタイミングとなるはずです。
今週のキーワード
呼吸を整える