しし座
凡庸と野生のはざまで
凡庸が抜け落ちる時
今週のしし座は、「定年の前に辞めしと冷奴」(遠藤若狭男)という句のごとし。あるいは、さっぱりと、憑き物を落とすような決断を下していくような星回り。
作者は、名前の通り福井県(若狭国)に生まれ、大学入学を機に上京し高校教師をしながら小説や俳句を続けていった人。掲句では、やはり堅気の仕事をしている知り合いが定年前に仕事を辞めたのです。
「冷奴」は夏の季語であり、久しぶりに会った旧友と居酒屋で一杯やっているところで、不意に打ち明けられたのかもしれません。
年金支給まであと少しまで迫れば、誰でも欲をかくものですが、おそらく相手の顔は思いのほか晴れ晴れとしたものだったのでしょう。作者の胸には、羨望と心配とが交錯しつつ、「お前はどうなんだ?」という自問も差し込んできたはず。
同様に、8月8日(木)にしし座から数えて「心理的基盤」を意味する4番目のさそり座で上弦の月を迎えていく今週は、考え方やファッション、遊び方などにおいて、自分なりのスタイルを自信をもって体現していけるかが問われていくタイミング。
どこにいれば一番自分らしくいられるのか。誰と一緒にいれば自分のこだわりを貫けるのか。そういったことを、そっと思い定めていきましょう。
個性は野性
私たちの心の中には、日頃から頻繁に個性的な思いつきや感情や意味が到来し、あるいは湧きおこっているのですが、いざそれを他者に伝えようとする段になると、そうした個性をみずから消してしまいます。
それぞれ異なる心の持ち主同士でコミュニケーションしていくには、その中で一番ふつうで、共通点が多く、あたりさわりないところを言葉にしていくしかないからで、さらに相手に言葉が伝わるのはとても気持ちがいいのです。
そういう意味では、今週のあなたは、そうした心地よさとは別のベクトルにある心の中のざらついた部分や、伝わるかぎりぎりのところをいかに言葉にしていくことができるかが問われてくるのだとも言えます。
今週のキーワード
太陽のぎらつき