しし座
大きな自己を生きる
誰がために働くか?
今週のしし座は、「早乙女や子のなくかたへ植てゆく」(希因)という句のごとし。あるいは、後の世のことを想って行動していくような星回り。
田植えする「早乙女」は、乳飲み子をどこかへあずけて労働に勤しんでいるのでしょう。ところが、その子がお腹をすかせたのか、それとも無意識に母親を求めたのか、急に泣き出した。掲句では、そんな声のする方へ苗を植えていくというのです。
田植えというのは、村中総出で行われる行事でしたから、自分だけやらない訳にはいかないという集団主義や同調圧力の象徴のような側面もあったはずですし、それは今日の日本社会でも基本的には同じかもしれません。
なんとなく「忙しい」方が偉い気がするし、何もしないで家にいると不安になるのは、自分だけ置いていかれた気がするからでしょう。
だから私たちは、世間が認める「一人前」でいるために働いたり、恋人をつくったり、結婚したりする。これはみんな自分のためにしている訳です。
そういう意味では、掲句の「早乙女」はあなたにとって自分をなげうってでも、このためにこそ自分は働くのだと思える存在がいるのか、と問いかけてくようにも感じられます。
今週はひとつ「誰がために働くか?」ということを、改めて念じみるといいでしょう。
「だけ」と「も」の違い
しし座はよく「自分大好きのナルシスト」な人たちなどと言われがちです。
ただ実際には、ナルシストというのは「誰かを愛しているふりをしながら、本当に愛しているのは自分だけであり、しかもその事実に自分では気付いていない人」のことを言い(だからこそ結果的に人を騙し利用して簡単に捨ててしまう)、根っからの悪人とナルシストの違いは、そんな自分への自覚の有無にすぎません。
ただ一方で、ナルシシズムというのはそのスケールさえ大きければ大いにプラスに働いてきます。すなわち、愛しているのが自分「だけ」でなく、自分「も」になってきた場合です。
そして、そういう「も」での繋がりは、ガチガチに固められた島同士を結ぶ橋である必要はなく、さながら島を行き来する連絡船の航路のように、ゆるやかなものであればいい。早乙女にしても、「子」にばかりかかりきりになればそれは執着になってしまうでしょう。
相手と自分を行ったり来たりすることそのものを楽しめるかどうか、それら航路で結ばれた島々全体を1つのアイデンティティーの下で愛せるかどうか。そこに今週の星回りの勘どころがあるのだと思ってください。
今週のキーワード
ゆるやかな繋がりと生命力の活性化