しし座
瞳と光明
瞳の奥に光を通す
今週のしし座は「天目に小春の雲の動きかな」(菊舎)という句のごとし。あるいは、内側から外にあるものへと、眼差しをふっと開いていくような星回り。
菊舎は江戸時代の女性で、若くして夫を亡くした後に出家して諸国を旅しながら歌を詠んだ。掲句は別府で野点(のだて、野外でたてる茶の湯のこと)に招かれた時に作られた句 。
温泉の地熱で湯を沸かし、黒色の鉄質釉が特徴的な天目茶碗(てんもくちゃわん)でいただく。そして湯を飲み終えた茶碗の底に、小春日和の空にうかぶ雲が映った。闇の中からは光がよく見える。
光は黒色の椀に飲み込まれることなく、天と地と自分とを結んでくれた。その事実の、何とありがたいことよ。
そもそも、瞳は“人見”にも通じる、人の姿が映って見える、の意だそう。
そして「見」という漢字は、人の上に目をのせる。まるで人間の最大の感覚的機能が目にあることを示すように。
今週のしし座は、さながら闇の中に閉じ込められていた光を外へと開いていくことで、これまで見えていなかったものが見えてくるはずです。
希望と絶望を分けるもの
いつだか「希望は美しい、絶望も美しい。だが、両者をわけるものは、もっと美しい」と いう一文をどこかで見かけてから、「希望と絶望をわけるもの」とは一体何だろうかと密かに疑問に思い続けてきました。
いまだそれに対する確信的な答えは得られてませんが、最近それは「光明」ではないかと思うようになってきました。
「光明」というのはただの「光」ではありません。 暗雲のわずかな隙間を縫うように射し込んでくる一条の光であり、そこには身体を震えさせる歓喜や感動があります。
影の世界にいるからこそ光明は感じることが出来るし、なにかを失って初めて永遠ということが分かることもある。
今週あなたは、世界のどこかに差し込んでいる光明に出会うことができるだろうか。
今週のキーワード
闇の中からは光がよく見える。