しし座
秋風涼風もたらされり
きっかけとしての秋風
今週のしし座は、「秋風や模様のちがふ皿ふたつ」(原石鼎)という句のごとし。あるいは、これまでとは異なる流れの中にいる自分に気が付いていくような星回り。
作句は大正三年で西暦1914年。前書きには「父母のあたゝかきふところにさへ入ることをせぬ放浪の子は伯州米子に去つて仮の宿りをなす」とあります。
当時作者は29歳。駆け落ちした夫人は追っ手に捕まり、米子から元の場所へと連れ戻され、ひとり残されてこの句を詠んだと言われています。
模様のちがう2枚の皿。あたりは薄暗く、静かである。そこにすっかり涼しくなった秋風が頭のなかでオーバーラップしていくとき、避けられない孤独と人恋しさとがないまぜになって、切なさが一気に浮き彫りにされていくように感じます。
作者の個人的事情など、この際どうでもいいことかもしれません。
それよりも、「秋風」と「模様のちがう二枚の皿」といった本来は別の次元の出来事が重なっていくとき、人は自分の感じていたことを真に実感できたり、自分が客観的に見えてきたりするのだということの方が、今のしし座にとっては重要なことなのです。
今週は、これまでの実感から一線を画させるような、涼やかな風があなたの中を吹き抜けていくことでしょう。
ブレイクスルーは必ず偶然からもたらされる
トム・クルーズの主演作品の隠れた良作に「マイノリティ・リポート」という映画があります。
映画の舞台となった2054年のワシントンDCは、犯罪を予知できるシステムのおかげで、今の世界には殺人事件が存在しない世界となっていました。
しかし、“完璧”な世界というものには必ず裏があるもの。
不意に吹き込んできた偶然にさらされた主人公の取った行動によって、犯罪予知システムはその裏にある暗い事実が明らかとなり、最終的には解体されてしまいます。
同様に、今週のあなたもまた、選択することが必要になるかもしれません。
どこかで自分に訪れた予感や偶然の重なり合いを単なる気のせいや一過性の出来事としてスルーしていくのか。それとも、一見平穏無事に見える物事に対する恐れや疑念をブレイクスルーして、これまで見過ごしてきた真実を受け入れ、生活や生きる姿勢そのものを改めていくか。
一見、完璧に見えるものほど危うさを秘めているのだということを、今週はよくよく意識してみてください。
逆に、不完全で不格好に見えるものほど、関わり方次第であなたに新しい喜びをもたらしてくれるはずです。
今週のキーワード
風は未来から吹いてくる