しし座
軌道修正と精度向上
過ちの蓄積と微調整
今週のしし座は、魔の曲がり角を抜けていくバイク乗りのごとし。あるいは、自分の犯した無数の失敗や誤りを受け入れていくことで、動きの精度を上げていくような星回り。
先々週から天王星が逆行をはじめ、9月の頭には土星が順行に、10月の頭には冥王星が順行に戻っていきます。
土星、天王星、冥王星という私たちの合意的現実を構成する上で大変重要な3つの惑星が逆行しているいま、私たちはある種の膿み(産み)出し期間にいるのだと言えます。
それは、思いがけない間違いの発生や起きてはならない問題の露呈、そして言い直し、やり直しの必要性が自然と高まっていくということ。
とはいえ、それらをなかったことにするのでも、諦めるのでもなく、「過ちは必ず起きるもの」を柔軟に受け止めて修正を蓄積していくことができるならば、かえって逆行によって現実はより望ましいものへと変わっていくのだということを覚えておいて下さい。
ちょうどバイクでコーナーを抜けていく際に、コーナーの向こう側から引っ張られるように体を倒していくことで、自然と動線を微調整していけるように。
今週はそんなイメージをもって、まずはかたまった身体を柔らかくしなやかにすることを意識してください。
サーカスの物理学
空中ブランコは、定期的に「手をはなす」という行為で観衆を湧かせる見世物ですが、かつて寺山修司が指摘していたように、実際そこで行われているのは「信頼の見世物化」であるという点で、サーカスの中でも特に興味深い芸です。
両手をはなして宙を飛ぶのは、大抵の場合体重の軽い女性と決まっていますし、それを受け止めるのも大抵は男性であるという意味では、空中ブランコはメロドラマの比喩表現とも解釈できます。
一切を捨てて飛び込んでいく人間と、それを手で受け止めてやる人間のあいだに浮かび上がってくる孤立無援の宙が、心の底をぞっとさせるような引力を感じさせるという意味では、逆行期間中の惑星のようにも見えてきます。
ちょっとした間のズレや、空中での所作を間違えればそのまま落下してしまう。
おそらく私たちも人生の中で転換を迫られたときには、そうした緊張感のなかで、それでも引力のようなものに引っ張られるようにして、命を繋いでいくのではないでしょうか。
今週は、空中ブランコを飛ぶサーカス団員のように、これまで握りしめていたものから手を離していくことで、引力の力強さに気が付き、それに導かれていくでしょう。
今週のキーワード
引力に引っ張られるように