ふたご座
神話的同志
穴と磁力
今週のふたご座は、「蟻の列吸はるるやうに穴の中」(柿本麗子)という句のごとし。あるいは、誰かと「同じ穴のムジナ」と言えるだけの“穴”を見出していくような星回り。
私たちは、ついつい自分に重ねて蟻(アリ)が自分の意思で穴に入っていくものとばかり考えてしまいがちですが、この作者はそうではなくて、穴が蟻を吸い込んでいるのだと見ている。
そう言われてみると、ただの穴がつぎつぎと他の生き物を吸い込む不気味な生き物のように思えてくるから不思議だが、「穴」を他の言葉に置き換えてみると、案外そう珍しいものではないのかも知れない。
会社、思想、夢、お金、信仰、迷信、仮説、偶像、麻薬、時代、病い…
あなたはどの“穴”のムジナだろうか? そして、自分と同じ穴のムジナは周囲にどれだけいるだろうか?
今週は自分が吸い寄せられている“穴”の磁力を感じながらも、その磁力圏を比較的冷静に見定めていくことができるでしょう。
反射と言葉
自分自身を生き延びさせるための言葉を探そう。人との唯一のつながりの途としての言葉を探そう。
言葉は文字でなくても構いません。写真であっても、デッサンであっても、鉢植えであっても、リズムやメロディーであっても構わない。ただそれが、あなたが望む未来に確かな輪郭を与えてくれるものならば。
そして、使う言葉や育った背景を超えて、同じ未来を映しあえる仲間や同志を見出しましょう。そうした自分は決してひとりではないという確信こそが、他の何よりもあなたに必要な逸脱を後押ししてくれるはずです。
「網の上に置かれた真珠は、互いに反射しあって、他の真珠を映し出すだけでなく、他の真珠に映る自分自身の姿をも映し出します。世界全体が真珠ひとつひとつの上に映り、またその姿が別の真珠に映り、これが永遠に続くのです」(D.マンフォード他『インドラの真珠』)
今週のキーワード
友達ではなく同志を