ふたご座
普通ではない結びつきを求めて
「恋をしています」の衝撃
今週のふたご座は、「御大切(おたいせつ)」という言葉のごとし。あるいは、便利ではあるけれど、心にもない言葉や行動ではなく、もっと自身の奥底にある思いや考え方を現実につなげていこうとするような星回り。
個人的な話をすると、以前久しぶりにあった友人との会話の中で、何気なしに「恋愛はしてるの?恋人とかさ」と話を振ったとき、「恋をしています」とだけ返され、以来その友人のことをどこか尊敬の念をもって見るようになったことがありました。
考えてみれば、日本人が「愛」という言葉を今のようなポジティブな意味合いで使うようになったのは、明治時代に「Love」の翻訳語として「愛する」という言葉を使い始めたことに端を発している訳ですが、そもそもキリスト教の考え方では自己中心的な人間には「愛」は不可能であり、それゆえに絶対的存在としての神を要請し、その神の命令や、神への祈りや懺悔を介して、わずかに可能になりえたものとして追求されてきたのです。
つまり、絶対的存在としての神などという発想や、懺悔の慣習をもたない日本人が、しんどい部分は見ないで口当たりのいい分だけをすくって「愛する」とか、そこから派生した「恋愛」などという言葉を使っても、それは多分に欺瞞や虚偽が含まれていて当然なのはないでしょうか。
『岩波古語辞典』によれば、キリスト教が日本に伝来してきたとき、キリシタンはキリストのLove(アガペー)を「愛」と訳さず、「御大切」と言ったとあります。
12月20日にはふたご座から数えて「現実との折り合い」を意味する10番目のうお座で上弦の月を迎えていく今週のあなたもまた、今とりわけ情熱を傾けるべき対象へ、改めて実感に深く根差した言葉や態度をきちんと選んで臨んでいくべし。
世俗の言葉はいらない
コミュニケーションには、契約書や役所とのやり取りなど形式上の手続きが第一に考えられねばならないケースがある一方で、話をしている者同士が存在してくる背景やその抒情性こそが問われていくような場合もあるものですが、今週のふたご座にとってはおそらく後者の方へと大いに振り切れていくはず。
そしてそれは「同じ話をするのでもこの場所ですればより効果的!」とか「デートで相手を落としやすいお店」いったような、分かりやすい効果を狙ったテクニックや、くだらない駆け引きのためにシチュエーションを利用せよ、といった話とは対極のもの。
そうした「私」を主体としたコミュニケーションではなくて、その背後に隠れた「背景」にこそ語ってもらっていくことで、互いの関係性の中に言葉にはできないような特有の雰囲気が取りこまれていき、その結果として嘘やごまかしのない言葉が紡がれていくのです。
今週のふたご座は、そうした無言のプロセスを味わいつつも、人と人とが縁や絆を結んでいくことのリアリティーを存分に感じていくといいでしょう。
ふたご座の今週のキーワード
「愛」を「大切」に置き換えてみようか