ふたご座
ゆらぎと速度
微妙な動きを捉える
今週のふたご座は、ローソクの灯りで阿弥陀さまを見ていくよう。あるいは、時の重みを重ねて誰か何かのことをきちんと見極めていくような星回り。
西方にある極楽浄土にあって生あるものすべてを救うとされる阿弥陀如来は、念仏により誰でも浄土に往生できるという阿弥陀信仰とともに、歴史的にわが国に深く根付いており、鎌倉の大仏さまをはじめ、その仏像もまた各地で古くから親しまれてきました。
そして、そうした仏像は古いものであればあるほど、明るい日差しや蛍光灯のしたで見るのと、ローソクの灯りで見るのとではまったく違ってくるものです。
たとえ人間の眼では捉えられないほどかすかなローソクの炎であっても、照度計で測ってみるととてもきれいにゆらいでいるのがわかりますし、時には阿弥陀さまの“ほほえみ”が見えるときさえあるのだそう。
炎でゆらいでいるということは、その輪郭が完全に像の材質に属しているのではなく、半ば背景に溶け出すようにしてそこに存在しているということでもあって、そうすると、見ているものにとってはちょうど疑似的な立体映像みたいになって、つまり“生き生き”として見える訳です。
同様に、24日にふたご座から数えて「研究テーマ」を意味する7番目のいて座で下弦の月(意識の危機)を迎えていく今週のあなたもまた、ある特定の分野であれ人間であれ、研究する対象を殺してしまうのではなく、いかに生かす仕方で扱っていけるかということが問われていくでしょう。
生活の速度を変えてみる
現代人は感覚が鈍くなったということがよく言われますが、ひとつには交通や交通のインフラが人間の体感できるキャパシティを大幅に超えてしまったことがその本質にあるように思います。
たとえば、昔の人は皆とにかくよく歩きました。おそらく、場所から場所への距離感は同じでも、高速移動やハイスピードに慣れ、電車やバスや自動車の速度で物事を感じたり考えたりするのが当たり前になってしまった現代の人とは、時間感覚だけでなく、向き合おうと決めた対象との距離感やアプローチの仕方そのものも違っていたのではないでしょうか。
今週のふたご座は、徒歩には徒歩なりの思考があるということを、どうか思い出してみて下さい。そして普段とは異なる速度で身を動かしていくなかで、「迅速性」や「効率」といった都市的な価値観からこぼれ落ちていたもの(=ゆらぎ)が不意に目に飛び込んでくるはずです。
ふたご座の今週のキーワード
ゆっくりと、ばか丁寧に(⇔速く、大量に)